東京へ行く夢を諦めきれず、転職を決意。三度目の正直、念願叶っての上京だった。そこまでして上京したかった理由は様々あるが、東京の「街」への憧れが一番大きい。
早稲田大学出身の先輩に住む場所を相談したところ、
「上石神井とかいいよ。東小金井もいい。家賃との兼ね合いになるけど、東中野とかも捨てがたいな」
などと、おすすめされた。東京には何度も来たことがあったけど、どの駅も知らなかった。ドラマ『東京女子図鑑』に感化されて恵比寿や三茶に憧れていたが、私の払える家賃では住めないらしい。
職場へ一番行きやすい東中野が良かったが、それでも予算が足りなかった。そこで不動産屋のお兄さんが提案してくれたのが、1駅隣の「中井」だった。
ギリギリ新宿区の端っこ「中井」で始まった上京生活
1K6畳、家賃9万5千円。今となっては、築年数を妥協すれば恵比寿にも住めた気がするが、福岡のときと同じく新築で駅近という条件を譲れなかった。そのせいで結局予算を超えたのだが、当時はコロナ禍で出かける機会が減り、多少お金が貯まっていた。そこに“上京ハイ”が重なり、計算が甘くなっていたのだ。
ここぞとばかりに、家具家電も買い替えた。欲しかったドラム式洗濯機も購入。新居にはベランダすらなくて東京の家の狭さに驚いたが、ドラム式洗濯機で乾燥すれば問題ないと安心していた。
ところが、いざ搬入したら扉が洗面台にぶつかって置けなかった。そういえば、家電量販店の店員さんが、「6畳のお宅ならドラム式は入らないかもしれませんよ」と教えてくれていたなぁ。
縦型の洗濯機に交換するまでの数日間、コインランドリーへ通うことになった。洗濯物を手にいっぱい抱えて、中井の街特有の狭い道を通り抜けるとき、この街での生活が始まった感じがした。戸建や低層マンションが密集する何でもない景色が、新鮮で楽しかった。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら