全国各地の「ご当地うどん」が大ブームの中、なぜ「関西風うどん」は東京で流行らないのか 専門店が進出しない「意外な理由」

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関西の伝統料理の普及・継承のため活動を続ける「日本コナモン協会」の熊谷真菜会長は「関西人にとってうどんは『当たり前』の食べ物なので、ご当地うどんの一種だと気づかないという“盲点”があります」と話す。

「本来なら関西のうどんはたこ焼きやお好み焼きと並ぶ“コナモン”の筆頭格なのですが、生粋の関西人でも忘れてしまっています。

さらに関西風うどんは讃岐うどんとの“融合”が進んだことで大きな影響を受けました。1970年の大阪万博で讃岐うどんの手打ち実演が評判となり、関西人は『こんなうまい麺があったのか』と衝撃を受けました。

ご存じの通り讃岐うどんは麺が命で、その味わいを重視して出汁醤油だけで食べる『生醤油うどん』は象徴的なメニューだと言えます。

ところが関西でも讃岐うどんの店が増えていくと、『関西の出汁に讃岐うどんの麺を入れたら完璧じゃないか』と気づく職人さんが出てきたのです」

関西風は「麺が目立っては駄目」

香川県から関西圏は距離的にも近い。熱心なうどん店の経営者や職人は双方で会合を持ち、互いに情報交換するなかで、両者のうどんは“融合”していった。

「そして今、関西圏のうどん店と言えば、大半が『関西風の出汁を使った讃岐うどん』が中心になってしまいました。

讃岐の麺を使わない伝統的な関西風うどんのお店は減少の一途をたどっており、『日本コナモン協会』としても危機感を抱いています。

インパクトが強い讃岐うどんの麺に関西風の出汁をかけ、揚げたての天ぷらを載せるというスタイルは、それこそ本場の香川県でも人気となっています」(熊谷氏)

では、熊谷氏が言うところの「伝統的な関西風うどん」とは、どのようなものなのか。

その定義について、辻調理師専門学校で日本料理の教員を務める石田充さんは「関西のうどんは庶民的な食べ物ですから、価格を安くする必要があります」と前置きした上で、こう語る。

「私たちが学生の皆さんに出汁について教える時は、かつおぶしと昆布を使った日本料理の基本である『会席料理の出汁』を学んでもらいます。

ただし、この出汁は香り高く上品で、うどんには穏やかすぎるかもしれません。そこで街場のうどん店は『サバ節』や『ウルメイワシ節』、『アジ節』といった、味が濃い『雑節』を加えて出汁を取ることが多いのです。

オールかつおぶしより、コストが抑えられる面もあります。さまざまな雑節からどれを選ぶか、どうブレンドするかで店の個性が出ます。

そして最後に昆布出しのうま味でまとめ上げるのが『関西風うどん』の最大の特徴だと思います」

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