"利他"で協力する動物はいない? 生き残る個体が「あえてコストを払う」納得の理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:Kostiantyn Postumitenko/PIXTA)
「協力」は尊い美徳だと思われがちですが、自然界の掟はもっと冷徹で合理的です。百獣の王ライオンから小魚の群れまで、彼らが群れるのは、それが「自分の得」になるからに他なりません。本稿は、『利己的な生物がなぜ協力し合えるのか』から一部抜粋のうえ、人間社会の「共有地の悲劇」や鳥類の混群戦略を紐解き、生存本能に刻まれた「協力の正体」を解き明かします。

百獣の王ライオンも協力し合う

生物は一個体では非力です。「百獣の王」と呼ばれるライオンですら、1頭で狩りに成功する確率はごく低く、プライドと呼ばれるオス1頭+メス数頭からなる「群れ」で狩りをします。

風上に1頭が行って、その匂いを感知して風下に逃げる獲物を他の個体が待ち伏せして襲うのです。慌てている獲物はさらに捕まえやすいので、狩りの成功率は上がります。このとき、立派なタテガミを持つオスは風上で寝そべる役で、危険な狩りはメスが担当します。でもこれも、立派な協力です。

何だ、強い個体も協力できるじゃないか、と思われるかもしれません。ライオンのプライドは、繁殖のための群れでもあります。オスとメスが分業して狩りの効率を上げることは、オスにもメスにも利益があることに注意してください。つまり、協力したほうが「自分にとって得」なので協力「できる」のです。

もし協力しないで獲物が半分になってしまうとするなら、単純計算で育つ子供の数も半分になってしまうでしょう。ある量以下しか獲物が取れないと子供が全滅することもあり得るので、獲物が取れないことはオス・メス両方の適応度(=育った自分の子供の数)を大幅に下げるのです。

次ページ「損して得とれ」
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事