"利他"で協力する動物はいない? 生き残る個体が「あえてコストを払う」納得の理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

各個体は、餌を食べている間は下を向いていて上を見られないので、時々上を見なければなりません。その間は、自分は餌を食べることができないのです。

同種で群れをつくり餌を食べていると、自分が餌を食べている間に他の個体が顔を上げて警戒してくれて、敵が来たときには教えてくれる。そういうしくみがあれば、1羽でいるときよりも多くの餌を食べられるでしょう。

小鳥は群れでいるときに敵を発見すると「警戒声」と呼ばれる短く鋭い鳴き声をあげ、それを聞くと全ての個体が一斉に逃げますから、このメカニズムで同種で群れて餌を食べるようです。

小鳥が混群をつくる理由

利己的な生物がなぜ協力し合えるのか 「進化論」の残された謎に挑む (PHP新書)
『利己的な生物がなぜ協力し合えるのか「進化論」の残された謎に挑む 』(PHP新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

では、なぜ複数の種で混群をつくるのでしょうか。その理由として、次のようなことが考えられます。

鳥の警戒パターンは種類ごとに異なっており、警戒する敵の種類、空の高さ、感覚、敵を発見する能力などが微妙に違っています。このような、多様性のある複数種が同じ群れにいて警戒すれば、敵が来たときに発見できる確率は上がるでしょう。そうであれば、混群をつくるほうがつくらないよりも、無事に食べられる餌の量が増えると考えられます。

実際に研究された例では、参加する各種は混群形成により、何らかのメリットを得ており、この仮説は正しいようです。

場合によっては、群れで移動することにより、草むらにいる小昆虫が驚いて飛び出すので、草の実と昆虫という食性の違う鳥同士でも混群をつくることに利益がある場合があるようです。

長谷川 英祐 進化生物学者、元北海道大学大学院農学研究院准教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はせがわ えいすけ / Eisuke Hasegawa

1961年東京都生まれ。子どものころから学者を夢見る。大学時代から社会性昆虫を研究。卒業後は民間企業に5年間勤務。その後、東京都立大学大学院で生態学を学ぶ。主な研究分野は、社会性の進化や、集団を作る動物の行動など。趣味は、映画、クルマ、釣り、読書、マンガ。著書に、ベストセラーとなった『働かないアリに意義がある』(ヤマケイ文庫)、『面白くて眠れなくなる生物学』(PHP文庫)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事