高市首相がアメリカによるベネズエラ攻撃への評価を保留せざるをえなかった理由、「日本外交の長期指針を問い直すべき」との指摘も
米国のベネズエラ攻撃が正当なものだったか議論を呼ぶ中、中国を念頭に「力による現状変更」に反対してきた日本は難しいかじ取りを迫られている。高市早苗首相が5日の年頭会見で語った内容は外務省主導でまとめた「答弁案」に沿ったもので、同盟国・米国の軍事行動が国際法違反か否かの評価には踏み込まなかった。一方、政府内には攻撃に対して賛否両面の声があり、専門家は日本外交の長期指針を問い直すべきだと指摘している。
外務省案がほぼそのまま
「邦人保護には万全を期すとともに、ベネズエラにおける民主主義の回復及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めていく」。高市氏は5日、訪問先の三重県伊勢市での年頭記者会見でこう述べた。経済政策に多くの時間を割いたが、報道陣からは米のベネズエラ攻撃に対する政府の見解を問う質問が出た。
高市氏の発言は、前日にソーシャルメディアのXに投稿した内容を踏襲したものだ。ベネズエラ攻撃後、政府は高市氏による対外発信の内容を関係者間で協議した。複数の政府関係者によると、外務省は①民間人の被害状況など米の攻撃が国際法違反か否かを判断するには材料が不足している、②トランプ米大統領の判断には触れず民主主義や法の支配に反してきたマドゥロ政権が転機を迎えた点に着目する、③日本人保護の姿勢を強調する、との要素を重視して答弁案を練った。関係者の1人は「高市氏側から特段の注文はなく、外務省の提案がほぼそのまま通った」と述べた。
ロシアによる2022年2月のウクライナ侵攻に対し、日本は主要7カ国(G7)とともに「力による現状変更」に反対を唱え、「法の支配」の重要性を訴えてきた。念頭にあったのは海洋進出を強める中国で、当時の岸田文雄首相は「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と発信した。


















