30代前半女性は時間軸で優先順位を決めよう 今すぐやること、長い目で見ることがある

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一方で3人目のお子様の妊娠という目標は、タイミングを計ってできるものでもありませんので、こちらのタイミングを想定してほかの転職なりの時期を組み立てることはするべきではありません。

タイミングはわからない一方で、何十年後に先延ばしにできないのも事実です。つまり、実現可能性の時間軸的にそこまで悠長なことを言っていられません。

そう考えると、仮に両方の目標を真剣に考えるのであれば、次の妊娠と転職を同時に視野に入れて行動を開始するものの、実現可能性という意味での時間軸的な優先順位では「妊娠>転職」となるわけです。次の出産までの期間は、なるべく負担の少ない方法で転職をすることを優先しつつ、それが不可能であれば出産後の転職のための準備期間と位置づけるのが正解でしょう。

負担の少ない方法は、今回のケースではグループ企業への転籍です。今回は要件を満たさなかったので応募できなかったとのことですが、ポジションに空きが出ればすぐにでも移りたいという意向を明確に表明すべきです。突然の退職に伴って、明日にでも空きが生まれるかもしれません。したがって、空きが出た際に声をかけてもらえるように動いておくべきです。

重要なのは、目先の仕事の手を抜かないこと

そしてその際に重要なのは、目先の仕事の手を抜かない、ということです。グループ企業への異動であれ、他社への転職であれ、現在の勤務先での実績、経験、スキルが評価の対象です。現在の職場での仕事ぶりが認められることが何よりも大切です。

35歳を過ぎると転職は厳しいと言う人がいますが、即戦力を持っていればそんなことはありません。実際に足元では35歳オーバーの転職がかなり盛り上がっています。ただし、即戦力があるという前提ではあります。

今の仕事に手を抜かないということの重要性が、ご理解いただけるでしょう。分野は違えどもシステム開発という意味では同じフィールドです。目先の仕事で昇進を狙いつつ、事前知識を吸収し準備をしておくというスタンスで十分です。

仕事も人生も短期的には取捨選択が重要です。だからといって、短期的に捨てたことを長期的にもあきらめる必要は絶対にないわけです。そしてそのためには実現可能性という意味での時間軸上の優先順位づけが大切です。

本連載でも繰り返し申し上げていますが、長期で人生のバランスを取ればいいですし、人生とは短期的な幸せの追求ではなく、長期的に幸せの形を成せばいいわけですから。悩めるワーママさんが最終的には望むすべての夢を成し遂げられるよう応援しております。そこまで頑張っていれば、絶対に幸せになるはずです。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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