野党の批判は意外と正論? 過去最大"122兆円予算"に透ける高市政権「責任ある積極財政」の危うい正体

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さらに、読売新聞が実施した同省のショーン・パーネル報道官への取材で、日本の防衛費をNATO(北大西洋条約機構)加盟国並みの対GDP比5%まで引き上げる必要があるとのアメリカの見解が判明した。

高市首相は来春早々に渡米し、日米首脳会談を行う意向を示している。来年4月にはドナルド・トランプ大統領が中国を訪問するため、その前に強固な日米関係を示したいようだ。その際の“手土産”となるのが「対GDP比2%達成」という数字だろう。

ヘグセス国防長官と小泉防衛相
増大する防衛費をめぐって与野党間で激しい議論となる可能性もある。写真は10月29日の小泉防衛相(右)とヘグセス国防長官の会見(写真:ブルームバーグ)

しかし、防衛関連費増額の財源は所得税で、27年1月から所得税額の1%付加が実施される予定だ。代わりに政府は、東日本大震災の復興財源に充当する2.1%の復興特別所得税を1%引き下げるというが、課税期間は現行の37年から47年まで10年延長される。

また、インフレなどによって「2%」の基準となるGDPが増大すれば、防衛費も増大させなければならず、これらについても野党が厳しく追及するに違いない。

長期金利の上昇など経済面の課題が山積

通常国会は来年1月23日に開会される予定で、高市内閣が高い支持率を維持する限りは、年明け早々の衆院解散・総選挙はなさそうだ。最大の課題は経済となるが、12月22日に26年10カ月ぶりに2.1%と達した長期金利がさらに上昇して成長率を上回れば、急激なインフレを招きかねない。

「見える世界」の先を予測し、対策を講じるのが政治家の役割だ。高市首相は12月27日から年末年始の休暇に入り、議員宿舎から首相公邸へ引っ越すなど、不測の事態に備えた態勢を整えている。

女性の首相就任を阻んできた「ガラスの天井」を破ったものの、次のハードルが待っている。年が明けても国のトップは、果てしない孤独と無限の責任を強いられる。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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