野党の批判は意外と正論? 過去最大"122兆円予算"に透ける高市政権「責任ある積極財政」の危うい正体

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藤田氏の表情にやや疲労感が見えるのは、自民党と連立を組んで以来、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が維新の「政治資金還流疑惑」を次々と報道していることに起因しているのかもしれない。また12月10日には大阪府議会で自民党の占部走馬府議が、維新の議員の「国保逃れ疑惑」を取り上げ、波紋を呼んでいる。

それをなんとか挽回しようということなのか、藤田氏は外国人問題の提言書を年明けにも作成することを発表し、困難といわれる外国人受け入れの総量規制にも踏み込む予定だ。さらにスパイ防止法案にも意欲を見せるが、これには共産党が大反対しており、来年以降も両党の対立の激化が予想される。

国民民主党は12月18日に「年収の壁」を178万円まで引き上げることを自民党と合意した文書で、「来年度予算を年度内の早期に成立させる」と約束しており、予算案について大きな異論を示すことはないだろう。

玉木雄一郎代表は23日の会見で、「一定の信頼関係が醸成された。協力のあり方については、幅も深さも拡大させていく」と述べており、高市政権により接近していくことを示している。

玉木代表
国民民主党の玉木代表は高市政権に対して大きく歩み寄る姿勢(写真:ブルームバーグ)

野党の“悪口”が意外と的を射ているワケ

一方で、高市政権と対決姿勢を強める立憲民主党の安住淳幹事長は、26年度当初予算案を「大盤振る舞い」と批判し、共産党の小池晃書記局長は声明で「大軍拡、財界・大企業優先、対米屈服の予算案」と断じた。それらは単なる悪口ではなく、ある意味で“高市予算”の本質を示している。

例えば、防衛関係費は過去最高の9兆0353億円となり、前年度の当初予算8兆7005億円から3.8%増額された。なお、高市政権は25年度補正予算で防衛関連費1.7兆円を積み増し、同年度の防衛関連費は約11兆円に達している。

22年に制定された安全保障関連3文書の1つ「国家安全保障戦略」では、防衛関連費を27年度に対GDP(国内総生産)比2%にする目標を掲げていたが、これを2年前倒しで実現したことになる。

すでにアメリカは日本に対して、防衛費の増大を求めている。フィナンシャル・タイムズは6月20日、アメリカ国防総省ナンバー3のエルブリッジ・コルビー国防次官が日本に対してGDPの3.5%まで拡大することを要求したと報道した。

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