「月額4万7000円~」「温泉付き」… 中国の《最先端・老人ホーム》を訪問して驚いた 「高齢者向け施設」に問われる"質"と"あり方"とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

Lさんの朝は、理学療法やマッサージから始まる。午後はテレビを眺めたり、自ら車椅子を操って広場へ出かけたりと、その足取りはどこまでもマイペースだ。

かつて彼を悩ませた手の震えも、ここでの治療を重ねるうちに、今ではすっかり改善された。規則正しい生活の中に温かさが感じられた。

月額料金は安価に設定されている

華煦・桂湖頤養センターには、もう1つの顔がある。それは、行政の役割を担う公的福祉施設としての性格だ。ここは、一般の人々が無理なく利用できる「普及型」の高齢者施設として位置づけられ、40人を超える高齢の生活保護受給者の暮らしを支える場にもなっている。

特筆すべきはその手ごろな費用だ。老人ホームの月額料金は、居住環境、介助レベルに応じて2133~4487元(約4万7000円~約9万9000円)に設定されている。

政府の補助金によって市場価格よりも低く抑えられている。経済状況にかかわらず、あらゆる階層の人々に門戸を開いている。

中国の老人ホーム
この老人ホームの月額料金は、居住環境、介助レベルに応じて2133~4487元だ(写真:筆者撮影)

これほど良質な資源を抱えた高齢者施設は中国でも稀だが、施設はいまだ黒字化という高い壁に阻まれている。施設のベッドの約3分の1はまだ空いている。中心地から離れていることが原因の1つなのかもしれない。

その背景を突き詰めれば、「老い」に対する人々の意識が、まだ時代の変化に追いついていないという現実も見えてくる。「最期まで住み慣れた家で」という長く受け継がれてきた価値観と、専門職による「質の高い養生」という新しい選択肢。その2つのあいだで、人々は思い悩むのだろう。

次ページ中国には「養児防老」の考えがある
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事