「トイレを連想」「衛生面が気になる」との声も…。おしゃれドーナツ店「I'm donut?」が陳列方法めぐり炎上、その要因と取るべき対策

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では、どんな対策を取るべきなのか。月並みではあるが、2次元での見え方を意識することだろう。今回の炎上は、ネットユーザーによる「一面的な切り抜き」が発端だが、とは言えSNS時代において「一面的な切り抜き」を責めるのもナンセンスだろう。デメリットもあれど、大きな恩恵をくれるのもまたSNSだからだ。

社内で確認するだけでなく、時には外部の人間や専門家に意見を伺う……そんな行動が求められる。

印象論ではなく、事実ベースで考える

あれこれと理由を付けてきたが、一番大切なのは「トイレっぽい」を上回る体験価値を与えられているかだ。それを払拭できる雰囲気を作れているのであれば、X投稿の指摘については、問題ないように思える。

ただ、X投稿が指摘していない部分には、議論の余地がある。「○○っぽい」といった印象論ではなく、事実ベースで「タイルのような工業製品の上に直接載せることの是非」については、しっかり考えなければならないだろう。

この視点を持つことで、感情論や客起因の衛生面に加えて、「食品に適した素材か」「目地は清掃しやすいのか」「食器と同じ管理方法でいいのか」といった要素が加わる。タイルや目地材が食品に適したものなのか。そもそも、そうした「食品用の建設資材」は実在しているのか——。

このように印象ベースではなく、科学的なアプローチから疑念が浮かんできてしまうと、なかなかそのイメージは拭えない。そうした懸念を負ってまで、あえてこのデザインにする必然性があったのか。それが現状では、あまりうまく伝わっていないように感じられる。

ひとたび「ツッコミどころ」が見えてしまうと、「他にも何かあるのではないか」と、あら探しにつながる。何事にも完璧はない。人間が作っている以上、ほころびが出てくるのは当然である。だが、それがブランドイメージの毀損にまで発展するとなれば、話は別だ。

加えて昨今は、ちょっとしたツッコミどころでも、すぐさま写真で捉えて、拡散できる仕組みができている。すると、初見の人々でも、最初から「重箱の隅」つつきモードになるため、余計に全体像が把握されなくなってしまう。

消費者は、主観で物事を判断する。そして、必ずしも販売側が意図した形で解釈するとは限らない。少しでも客が違和感を覚える余地を与えた以上、企業側はそのギャップを埋めるような対応が求められるのだ。

城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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きど・ゆずる / Yuzuru Kido

1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ジェイ・キャストへ新卒入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長などを経て、2022年秋に独立。現在は東洋経済オンラインのほか、ねとらぼ、ダイヤモンド・オンライン等でコラム、取材記事を執筆。炎上ウォッチャーとして「週刊プレイボーイ」や「週刊SPA!」でコメント。その他、ABEMA「ABEMA Prime」「ABEMA的ニュースショー」などネット番組、TOKYO FM/JFN「ONE MORNING」水曜レギュラー(2019.5-2020.3)、bayfm「POWER BAY MORNING」などラジオ番組にも出演。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
X(旧ツイッター):@zurukid
公式サイト:https://zuru.org/

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