なぜ女性だけが家事で消耗するのか――「家事の呪い」誕生史、正体を知って呪いを解く

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平成に生まれた呪いもある。例えば、ワンプレートの食事や丼形式のご飯は、行儀が悪く手抜きと批判する書籍は、令和の今も刊行されている。

「汚部屋」「片づけられない女」という言葉も、女性は部屋を美しく保つべき、という呪いが前提にある。

しかし、ゴミだらけの部屋に住む主人公を設定し、2006年にドラマ化された少女漫画『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子)以降、片づけられない女性を描くテレビドラマが次々とヒット。判を押したようにキャリア女性を「片づけられない女」に描く作品群は、ある意味で呪いを解く作業をしているとも言える。

16年のヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』をきっかけに利用者が増えた家事代行サービスも、平成初期頃は、利用を近所の人や家族から隠そうとする女性もいたそうだ。

家事の呪いの難しいところは、必ずしも完全に解くのが望ましいとは言い切れないことだ。栄養のバランスが整った食事をし、清潔な部屋と衣服で快適に過ごせるほうが健康に良い。そのためか、ドラマの「片づけられない女」たちは家事が得意なパートナーを得るが、現実にそのようなパートナーを得るのはたやすくない。

理想を求めすぎることも呪い

女性が「理想の家事」で囲い込みつつ、「家族が手伝ってくれない」と嘆くケースもある。昭和後期に流行った「キッチンは女性の城」というフレーズが、その象徴である。

家族が使うと、使ったものの収納場所を間違える、散らかしたままにする。あるいは、家族は何がどこにあるかわからないから手を出せない。こうした問題には、後片づけを前提にする、ラベルを貼って収納場所を明確にする、など解決方法はある。その前に、主な担い手が、自分と違う、あるいは完成度が低い家事を受け入れる寛容さが必要だ。

家事はいくらやってもキリがないため、主な担い手を疲弊させ人生を貧しくするリスクがある。できれば家族にシェアを求め、場合によっては外注も入れることで負担を減らしてほしい。求めるハードルを下げる「あきらめ」が必要な場合もある。

理想を求めすぎることも呪いだ。また、自分に家事を任せきりの家族が呪いにかかっているなら、ぜひこの記事を家族に読ませてほしい。「家の中でジッとしているのを見たことがない」主婦という役割で女性が消耗する時代は、そろそろ終わりにしたいものである。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。

女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『おいしい食の流行史』(青幻舎)『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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