香港の象徴「高層マンション群」鉄道との深い関係 火災発生の団地も「郊外路線の電化」と同時期完成
11月26日、香港北部の新界地区・大埔にある公営住宅団地・宏福苑で大規模な火災が起きた。
31階建ての高層マンション8棟からなるこの団地には4000人以上が暮らしていたとされる。今回の火災は、当初はボヤ程度だったものが、改装工事のため建物を覆っていた竹製の工事用足場や防護ネットに燃え移り、最終的には8棟のうち7棟がほぼ焼損するという痛ましい事態となった。死者は160人以上にのぼり、多くの住民が避難を余儀なくされている。
かつて香港でこのような高層住宅に長く暮らした筆者にとってこの火災は、中心部からやや離れ、鉄道による連結を前提として整備されてきた郊外ニュータウンのあり方を改めて問い直す出来事でもあったように思う。
高層ニュータウンを支えた鉄道の発展
香港の観光写真は、必ずといっていいほど「高層ビル」をモチーフにしている。ビクトリア湾沿いには商業ビルやホテルが立ち並ぶが、ひとたび中心部を離れると30階を超える細長い高層マンション群があちこちに立ち並ぶ光景が広がる。
こうした高層住宅群、すなわち郊外ニュータウンの形成過程においては公共交通機関、とくに鉄道の整備と増強が不可欠だった。今ではMTR(香港鉄路)による鉄道路線網が張り巡らされている香港だが、高層マンションが立ち並ぶ郊外住宅地の発展は、香港の鉄道網整備の歴史と密接にかかわっている。


















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