JR東日本「ラグビーリーグワン参入」までの全内幕 NECから「グリーンロケッツ東葛」運営を来季譲受

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複数の企業がチーム引き受けに関心を示した。JR東日本もその1社。9月に入ってリーグワン経由で打診があり、森田社長とJR東日本の喜㔟陽一社長の間でトップ会談が行われた。もともと、JR東日本とNECは列車運行管理のDX化で協業するなどビジネス上の関係が深い。常磐線の車内で現役4選手の音声による車内放送などラグビーで地域を盛り上げるイベントも実施した。

喜㔟社長はチームの練習グラウンドやクラブハウスを視察したうえで、「前向きに検討する」と表明。11月中旬、リーグワンを通じてNECに「譲渡先の候補に加えてほしい」と提案した。そして、NECは複数候補の中からJR東日本に一本化した。

11月18日のリーグワン理事会で、NECはチーム譲渡に向けた具体的な交渉が進んでいることを報告した。譲渡に際してはチーム運営に必要な財務の健全性、事業の継続性などについてJR東日本がリーグワンの審査を受け、理事会の承認を受ける必要がある。手続きの省略は許されず、開幕に間に合わない可能性も。このため、期限は2026年2月末に延期された。

今シーズン開幕前の契約にこだわる

時間的に余裕ができたが、NECは選手の心情を慮って開幕前の契約にこだわった。JR東日本の企業スポーツを統括する人財戦略部マネージャーの奥村継一氏は「契約締結のタイミングはいくつかあり、手続きが遅くなったら次のタイミングを探るということで進めてきた」と淡々と説明したが、その動きはやはり開幕を見据えていた。

12月9日の理事会で審査が行われたが、その結果は申し分なく、譲渡が承認された。そして11日に契約調印、発表に至った。ぎりぎりで間に合った。

NECグリーンロケッツ譲渡発表 森田社長と喜㔟社長 握手
NECグリーンロケッツ東葛の譲渡発表の場で、降壇時にNECの森田社長(左)に握手を求めるJR東日本の喜㔟社長(中央)(記者撮影)

譲渡は今シーズン終了後の7月に行われる予定だ。今シーズンの順位を引き継ぎ、JR東日本を母体とする新チームが来シーズンから参加する。ホストエリアの8市、本拠地、練習拠点などを含む現在の体制が引き継がれる。チーム名は未定だ。「グリーン」はJR東日本の企業カラーだが、人工衛星の製造など宇宙開発に力を注ぐNECにとって「ロケッツ」は思い入れ深い愛称。女子バレーボールチームの名前も「NECレッドロケッツ川崎」だ。喜㔟社長は「ファンの気持ちを踏まえNECと相談して決めたい」と語るにとどめた。

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