"18年ぶり内部昇格"新会長が《NHK衰退》を加速させる? 肝いり「NHK ONE」想定外の欠陥が招く致命傷の必然
「NHK ONE」にひも付けられている「NHKプラス」などのアプリを開くと、立ち上げ時に「アカウント登録のお願い」という画面が表示される。未登録の人は「登録に進む」、登録済みの人は「ログインする」を押すのが一般的かと思うが、「詳細を見る」の下に「あとで登録する」というボタンがあり、これを選ぶとアカウント登録なしでしばらくの時間、「NHK ONE」の各種サービスが使えてしまう。
これについてNHKは今後、「お願い」を繰り返し表示しても手続きをしない利用者には「簡単には閉じられないメッセージ」を表示する予定だという。ただし、「画面全体を覆うものではなく、コンテンツ視聴を妨げない範囲で重ねて表示する仕様」と説明する。
「視聴を妨げない」というのは誰でも見られる公共放送の建前を通すためであり、少なからず妨げになるはず。実質的に「NHK ONE」はスクランブル化されるわけだ。
だが、この時点でNHKはネット上において、普段テレビを見ない若年層との重要な接点を失ってしまうことになる。「アカウント登録のお願い」が表示される時点でかなりのハードルがあるのに、それをかいくぐって使っていると「閉じられないメッセージ」が出てくるのであれば、NHKの必要性を感じない若者たちに「じゃあいいっす」と言われてしまうだろう。
「NHK ONE」が抱える根本的な問題
これは「NHK ONE」の設計思想に大きな問題があるからだ。「NHK ONE」は、テレビでNHKを頻繁に視聴する受信料契約者にとっては便利この上ないサービスだが、テレビを見ない若者たちを拒絶している。「NHK ONE」の目的の1つには、そうした層からも受信料を取ることがあるはずなのに、本末転倒だ。どうしてそうなったのか。
NHKはこれまで、放送を「必須業務」、ネットを「任意業務」としていたが、総務省の有識者会議は放送法を改正して、ネット業務も必須業務化することを2022年から議論してきた。
そこには2つの目的があった。1つが、NHKはネットを中心に生活する若い層にも質の高い情報や災害情報を届けるべきという、公共放送のネットへの拡大の視点。もう1つが、それに伴って、ネットだけでNHKを利用する人とも受信料契約を結び、料金を取ることだった。



















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