「SNS禁止」で迎えるオーストラリアの長期休暇、アカウントを失った100万人以上の若者のメンタルにどう影響するか

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政府が資金提供する若者向けメンタルヘルス・サービス機関「ヘッドスペース」の臨床リーダーシップ責任者、ニコラ・パルフリー氏は「学校に行っていたなら、(メンタルヘルスについて)多くの会話や雑談があっただろう。経験が共有できる」とした上で、「手持ち無沙汰だったり、頭の中で考えが巡ったり、不安や心配、悲しみを感じている時こそ、一人で考え込むのは良くない。そうした人々が不安を感じ始めている」と語った。

オーストラリア政府は禁止措置について、若者をいじめや有害なコンテンツ、中毒性のあるアルゴリズムから守るのでメンタルヘルスに有益だと主張している。

政府機関の委員は、禁止措置の開始後2年間、政府は「メリットだけでなく予期せぬ結果」についてもデータを収集すると説明した。

相談増加への備え

SNS経由で若者にアクセスしている青少年支援サービスは、夏休み前の禁止措置実施に備えて既に準備を進めている。

電話・オンライン相談サービス「キッズヘルプライン」は通常、夏季は閑散期となる。しかし今年は、SNS禁止による相談件数の急増に備え、16人のカウンセラーを追加訓練中だ。バーチャルサービス責任者のトニー・フィッツジェラルド氏によると、これは10%の増員となる。

フィッツジェラルド氏は、学校関連のストレスは通常、休暇中に和らぐが「若者がプラットフォームで連絡を取れなくなることで、むしろ不安が増す可能性がある」と語り、相談件数の急増に備えていると説明した。

ビクトリア州青少年問題評議会の政策責任者ローレン・フロスト氏は、SNSなしで活動する方法について青少年団体からの問い合わせが殺到しているため、オフラインで若者とつながる方法を議論する全国組織の設立を計画中だと語った。しかし休暇中は、オフラインの選択肢さえ少なくなる。

フロスト氏は「若者が教師や支援スタッフ、青少年支援者と接する機会が減るため、この過渡期に若者を支援する役割を果たせなくなる」とし、そうした人々が「強い恐れと不安を感じている」と話した。

一方、アニエ・ワンさん(14)は様々なSNSアプリを利用しているが、禁止措置をあまり心配していない。主なコミュニケーション手段はディスコードで、メッセージ機能を主とするため禁止対象外だからだ。

だがディスコードを使っていない若者は「基本的に誰とも連絡が取れなくなる。たぶん夏休み中ずっと内にこもることになる。それは良くない」とワンさんは語った。

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