「SNS禁止」で迎えるオーストラリアの長期休暇、アカウントを失った100万人以上の若者のメンタルにどう影響するか

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オーストラリアのシドニーに住むアイリス・トルソンさん(15)は、若者の交流サイト(SNS)利用を禁止する法律が施行されて初めての夏休みに入っても、最初は家族と過ごせるからあまり問題はないだろうと考えている。写真は携帯電話を使うトルソンさんとアニエ・ワンさん。シドニーで10日撮影(2025年 ロイター/Hollie Adams)

オーストラリアのシドニーに住むアイリス・トルソンさん(15)は、若者の交流サイト(SNS)利用を禁止する法律が施行されて初めての夏休みに入っても、最初は家族と過ごせるからあまり問題はないだろうと考えている。だが数週間が過ぎるうち、徐々に孤独になり孤立するのではないかと恐れてもいる。

オーストラリアでは10日から、世界初となる禁止措置が実施され、16歳未満はTikTok(ティックトック)、ユーチューブ、インスタグラムへのアクセスが遮断される。

100万人以上の若者がアカウントを失い、その9日後には12月から1月にかけての長期休暇が始まる。国の大半は2月まで休業状態だ。

「学校が休みの6週間ほど、基本的に孤立することになる」とトルソンさん。「時が経つにつれ、ソーシャルメディアが恋しくてたまらなくなるだろう」

メンタルヘルス(心の健康)の専門家は、1年で最も長い学校休暇の直前というタイミングで禁止措置が始まることで、十代が受けるショックは強まりかねないと指摘する。若者は人との交流をテクノロジーに依存しており、休暇中は学校が与えてくれる習慣や制度的支援もなくなるからだ。

専門家によると、学校からもSNSからも断ち切られることによる「コールドターキー効果(断絶によるショック)」は、遠隔地に住む子どもや、移民、LGBTQI+などの子どもに特に顕著に現れそうだ。こうした若者は、仲間とのつながりをインターネットに依存する傾向が強い。

SNS経由でメンタルヘルス・サービスを利用している16歳未満のオーストラリア人の数を示す定量調査はないが、青少年サービス「リーチアウト・ドット・コム」が2024年に実施した調査では、16―25歳の72%がメンタルヘルスの助言を求めるために、約半分は専門家の支援を探すために、それぞれSNSを利用していることが分かった。

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