自由求め、新境地へ。壁に直面し、組織へ。ミドル世代のフリーランス増加、「選択」のその先は

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転機は19年、山口県萩市のPRコンテンツの制作で2週間滞在したときのことだ。子ども2人を連れていくと歓迎された。海辺の城下町で遊ばせながら働く様子をSNSに投稿すると、大きな反響があった。

半年後の長崎県五島市では、子どもが1週間、現地の小学校に通った。

「『よそ者』としてコミュニティーに入る経験をさせたら、想像以上に成長しました」(児玉さん)。コロナ禍でリモートワークが広がると親子ワーケーションの取材・講演が増え、ニーズを実感した。

ミドル層以上が65%

サイトの立ち上げ前、受け入れ地域の掲載情報が集まらずに苦労した。

旅行会社の友人に「探すより、自分たちで作れば」と助言され、自ら企画する方向に切り替えた。

児玉さんは伴走役として現地に赴き、学校の体験入学や宿、自然活動を組み合わせた親子向けプログラムを考え、地域が続けやすい形で提案する。

「地元の人が気づかない魅力に光を当てる仕事は、編集そのものです」

児玉さんのように、組織から独立したフリーランスとして働くミドル世代が増えている。

日本政策金融公庫総合研究所が融資先を対象に実施した「2024年度新規開業実態調査」によると、開業時の年齢(男女計)は「40歳代」以上のミドル・シニア層が約65%を占める。

開業の動機は「自由に仕事がしたかった」(56.9%)、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」(46.0%)、「収入を増やしたかった」(45.1%)と続く。

一方で、発注側との非対称な関係から来る問題も顕在化している。

公正取引委員会などが昨年まとめた「フリーランス取引の状況についての実態調査」でも「交渉と言ってもほとんど忖度の形式上のもので、無茶な価格を言ってくるなよと祈る」「足元をみた値踏みや条件、夜間休日返上の納期を求められる」という声が寄せられた。

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