「CEO交代困難」「現金ため込み」の欠陥を直せ! 高市首相の"コストゼロ改革"で企業の投資環境は劇的改善へ

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指名委員会等設置会社にはすでに執行役が用意されており、CEOは取締役である必要がない。これにより、不振のCEOやその他の経営幹部を交代させることがはるかに容易になる。なぜなら、候補者の「プール」が、すでに取締役ではない人物にまで広がり、必要なときにすぐさま選定することが可能になるからだ。

実際、経産省は17年と18年に、法務省の法制審議会の会社法制部会に対し、これを行うための論理を記したメモを提出したが、完全に無視された。17年には経産省は次のように書いている。

「監査役設置会社および監査等委員会設置会社の場合には、業務執行を行う会社法上の機関たる役員は取締役しか存在しないため、取締役会が監督に注力できるように業務執行者(業務執行取締役)の人数を削減する取り組みを行った場合、業務執行者の人数自体は減少しないにもかかわらず、会社法上の業務執行を担う役員(※)の人数は減少するという状況が生じる。

(※筆者注:株主代表訴訟によってアカウンタビリティを持つ者)

そこで、監査役設置会社および監査等委員会設置会社において、取締役会の決議によって業務執行を担う役員として執行役あるいは執行役員を選任できることとし、その業務執行役員を株式会社の代表者としても選定できるようにすることを検討することが考えられる」

ガバナンス上の欠陥が残されている

それ以来、「代表執行役」または「執行役」として非取締役を選任する法律上の仕組みの必要性は増している。なぜなら、社外取締役の割合が増加するにつれて業務執行取締役が減少するが、これは、業務執行を担う会社法上のポジションを持つ者(株主に対して法的責任を負う者)が減ることを意味するからだ。

「モニタリング・ボード」型ガバナンスへの移行について議論されているにもかかわらず、CEOになるにはまず株主総会で取締役に選任される必要があるという理由で、問題が生じた際に取締役会がCEOをすぐさま交代させられない状況では、「モニタリング」は効果的に機能しない。これは、日本の97%以上の上場企業に当てはまるガバナンスの重大な欠陥だ。

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