AI時代に生き残るための｢3つのポジション｣。マネージャー､スペシャリスト､そしてもう1つは？

まとめると、スペシャリストは自身のもつ経験知と洞察力をもって、「AIでより大きな成果を出す」という活用法を最短ルートで作り出す存在です。

いわば、AIに依存するのではなく、あくまで自分が主体となってAIを使い倒すというポジションです。このようなスペシャリストは、AI時代において変革を起こし続ける存在として価値を発揮し続けられるのです。

なお、マネージャーとスペシャリストとは、二者択一のポジションではありません。スペシャリストとしての知見をもちつつもマネジメントを担うことができれば、極めて大きな組織成果を出すことができます。

事業人材：価値の起点を創る人

マネージャーとスペシャリスト――これら両方の力をあわせもち、事業全体を俯瞰して事業構造を設計し、顧客への価値を生み出す人材。それが、AI時代における最も希少で、最もインパクトのあるポジション、「事業人材」です。

このポジションの役割は、常に問いを発することから始まります。

この事業は、そもそも何をなすべきなのか。顧客は誰か、何を提供すべきか、どんな成果を目指すべきか。

そうした本質的な問いに向き合い、マーケット・プロダクト・組織・予算・人間関係といった複雑な構成要素を把握し、最適な設計に落とし込んでいく。これは、単なるリーダーやプレイヤーといった定義では表せない、事業全体の「方向性そのもの」を定義して動かす存在です。

このポジションには、マネージャーとスペシャリスト両方の経験知・視座の高さに加え、顧客を理解する力が求められます。

このように、いわばスペシャリストとジェネラリスト双方の能力が必要です。もちろん、これら以外にもマインド面なども求められますが、ここでは割愛します。

特に重要なのは、顧客についての理解に基づく事業設計力＝マーケティング力です。なぜなら、どんな事業も、すべては顧客の理解から始まるからです。