産業資本主義では、農村から流入する人々を安い賃金で雇うことによって、都会の工場が利潤を生んでいた。
あたかも工場自身が利潤を生んだように見えるが、産業革命によって急上昇したその高い労働生産性と、農村の過剰人口が押し下げる賃金との差異が利潤を生んだのだ。技術をさらに革新しなくとも、工場さえ建てれば利潤が生まれ、利潤を再投資すればどんどん拡大できる。産業資本主義は必然的に成長する仕組みだった。
だが、その成長が農村の過剰人口を消した。さらに労働者を雇うためには高い賃金を払わなければならなくなり、利潤が減る。すると差異を自分で意図的に見つけ出さなければならない。それがイノベーションだ。マクロの構造変化が必然的にイノベーションを資本主義の表舞台に躍り出させた。
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