急増する飲食店の《セルフオーダー》、「サイゼリヤはOK」「客のリソースにタダ乗り」の声も…あり・なし論争の前に考えるべき"根本的な問題"

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その際に重要なのは、「タダ乗りされている」というネガティブな感情をいかに小さくするかだ。

客に「労働させられている」と感じさせず、「自然に使える」「スムーズで快適」と思わせる仕組みが求められている。

「サイゼリヤ」や「ペルティカ」の“好例”に学ぶこと

ここで、サイゼリヤの話に戻ろう。ここまでの論点をふまえ、私はサイゼリヤのUIは、今後のサービス業者にとって、示唆的だと思う。説明や導線が徹底的にわかりやすく、「どこで何をすればいいのか」が直感的に理解できる。結果的に、客は「自分で動いている」ことにストレスを感じない。

つまり、サービス業に重要なのは、単なる効率化ではなく、「顧客に気持ちよくリソースを提供してもらう」デザイン設計にある。「顧客のリソースを使う」ことが仕方ないのであれば、少しでも「気持ちよく」使ってもらうことが必要だ。

サイゼリヤの店舗
サイゼリヤに続く店舗は増えていくのだろうか?(写真:筆者提供)

そして、今後ますます客のリソースを利用するようになるときには、この考え方は必須になるだろう。ある意味、昨今主流の「体験型消費」もこうした意味でポジティブに語れる。

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例えば、すかいらーく系列のレストラン「ペルティカ」のジェノベーゼは、バジルを客自身がすりおろす。よくよく考えたら、めちゃくちゃ労働である。

しかし、ペルティカは少し高級な「体験型イタリアン」を掲げており、「バジルをする」体験は、顧客にとって「価値のある楽しい体験」になる。労働だが、労働でないように「見える」。「客のリソースに乗りながら、しかし顧客に嫌な感じを与えない」好例だ。

これからのサービス業者は「タダ乗りを前提とした上で、それが消費者が納得できるものになるか」を考える必要があるだろう。

考えてみれば、あまりに当然のことであるが、現状のスマホ注文に文句が出るのは、タダ乗りの問題以前に、その設計が消費者の理解を得られていないからだ。

サービス業の前提は変わらない。その上で、どのように「顧客理解」を得られるか。この、古くて、新しい問題こそ、これからのサービス業で引き続き考えるべきことなのである。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。「東洋経済オンラインアワード2024」でMVPを受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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