『変な地図』が70万部超え!作家《雨穴》にインタビュー…その「意外な素顔」とは。"次作の構想"や"処世術"を聞いた

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(撮影:川口宗道、双葉社提供)

――小説家としての今後の戦い方は。

『変な家』でデビューした僕が、王道ではない小説を書いたのは、王道を書く技術がなかったからです。当時は変化球を投げるしかなかった。そういうマイナスから、自分の弱点を逆算して書いてきたんです。

でも、オーソドックスな小説を1本仕上げた今、直球を投げる感覚やニュアンスみたいなものを学びましたので、投げられる球種が増え、守備範囲が広がりました。全体を広く見渡しながら、自分の個性をうまくコントロールして、読み応えのある小説を書いていきたいです。

次作に向かう「雨穴流の処世術」とは

――次はシリーズ5作目になります。ヒットが続いていますが、マンネリ化との戦いも意識しますか。

変な地図
『変な地図』(双葉社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

もともと文芸のバックグラウンドが豊富なほうではないので、油断すると前と同じパターンのストーリーの流れに寄ってしまいがちです。そこは意識して、いつも新しい何かを探して取り入れるように努力しています。

――この先の『変な』シリーズの構想は?

今作ですべて使い切ってしまったので、これからまた新しい素材を仕入れて、次は『変な』シリーズとはまったく別の新しいものを作りたいと考えているところです。『変な』シリーズが終わるのではなく、これからのためにいったん、改めてシリーズに向き合う期間を設けたいと思っています。

――新しいもののジャンルは、これまでのようなホラーではない可能性もありますか。

今作はホラー要素をけっこう入れたつもりだったんですが、読み心地としてミステリー寄りになったので、次はあえてホラー全開に振り切って、読者を思いっきり怖がらせるものにしてみようとか、ぼんやり考えています(笑)。

――今後の目標や野望はありますか。

ポリシーというか、処世術として、目標を持たないようにしています。昨年、テレビアニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)に出演させていただいたのですが、もしそれを目標にしていたらかなわなかったと思うんです。

その時々に自分が求められることや、いただいた仕事をまっとうして、ある意味、流されながらベストを尽くしてきた結果、今があります。だから、これからも僕は社会に流されていきます(笑)。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Yasuyuki Takei

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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