若手が「プロジェクトで大きなトラブル」 そのとき有能リーダーが"明るくふるまった"大きな理由
だいち4号の開発においても、現場作業者からの提案を受け入れ、試験手順の変更を取り入れたこともあります。プロジェクトマネージャとして私が提案したことも、現場作業者からの反対意見を取り入れ、考えを改めたこともあります。
自分で全てを把握することはできない、ということを理解すること。専門家、担当者、メーカー、運用の支援業者、いろいろな方々の意見を吸い上げること。
そのような考えを持ち、作業者の発言を大事にする雰囲気づくりも、プロジェクトマネージャの仕事であろうと思います。率先垂範で、共感力をもったリーダーが求められているのではないでしょうか。
部下には「泰然自若」に見せる必要性
開発の現場においては、都合のよいことばかりは続きません。技術面、スケジュール面、コスト面、さまざまな要因により、課題が目の前に押し寄せます。それも容赦なく畳みかけるように。
そのような時、プロジェクトマネージャは、課題に対処する能力とともに、指揮官としての体面を保つことも求められていると思います。「泰然自若」、そのように部下に見せる印象管理も大事です。
だいち4号は、H3ロケットの試験機2号機で打ち上げられることになっていました。この時のロケットの形態は、ロケットの真ん中にメインエンジンを三つ搭載した30形態とよばれるもの。固体ロケットブースターがないため、機械的な振動環境は比較的マイルドでした。
ところが、H3ロケット試験機1号機の打上げ失敗を受け、その後の打上げは、当面の間、真ん中のメインエンジンが二つ、両脇に固体ロケットブースターを取り付けた、22形態とよばれるものを使うことになりました。
単純に衛星を載せ換えるだけでは、と思われるかもしれません。とんでもない。全く別の形態のロケットに搭載するのです。しかも全く想定していなかった形態なので、衛星とロケットの数学モデルを結合させた解析をやり直す必要が生じました。
最悪の場合、再び振動試験をやり直す必要があるかもしれない、もしかしたら部分的に補強する必要があるかもしれないと、検討に半年ほどの時間がかかりました。



















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