「これ以上給料上がらないし、頑張らなくていいか」→そんな《働かないおじさん》はなぜ生まれてしまうのか?"データ"からひもとく
スコアが、革新行動、組織内ネットワーク構築行動、キャリア開発行動、外部ネットワーク探索行動の順になっているという傾向は、全世代平均スコアと同様である。一方、外部ネットワーク探索行動とキャリア開発行動は2.8を下回っており、その低さが目立つ。
このことから、ミドルシニアのプロアクティブ化に向けては、外に出て知見を広げることと、キャリアを自身で描きその実現を目指していくことが重要となる。
必要なのはキャリアの後半期における働くことの意義を改めて問い直すことだ。管理職という立場や高い給与だけに働くことの価値を見いだすのではなく、次世代への継承、地域・社会貢献、自己実現など、改めて働くことに対する自己の価値観・パーパスを再定義することが大事だ。
新しい価値観を定義できれば、新たなキャリア展望が生まれ、それを実現するためのキャリア開発行動や外部ネットワーク探索行動が促進される。
上司はどのようなサポートをするべきか?
ミドルシニアのプロアクティブ化に向けては、上司の役割も大きい。われわれの調査からは、プロアクティブな行動を促進するために最も重要な要因が「自己効力感」であることが明らかになっている。
自己効力感とは、「自分ならできる」「きっとうまくいく」と自分自身が考えている状態であり、小さな成功体験の積み重ねによって高まることが知られている。
そのため、上司がミドルシニアの状況を踏まえて、仕事のアサインなどの工夫し、成功体験を経験できるよううまくガイドすることで、ミドルシニアの自己効力感を高めることができる。
自己効力感を高めるもう一つの大きな要因が、他者からのポジティブなフィードバックである。ミドルシニアに対して、「何を言っても今さら変わらない」と考えるのではなく、小さな成功を適切に認識させたり、本人の強みを具体的に言語化したり、チームへの貢献を明確にしたりするフィードバックが、ミドルシニアの自己効力感の向上につながるのだ。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら