「これ以上給料上がらないし、頑張らなくていいか」→そんな《働かないおじさん》はなぜ生まれてしまうのか?"データ"からひもとく

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WEB全国調査や個別企業調査から、プロアクティブスコアが高いほど、職務成果、ワーク・エンゲイジメント、そしてウェル・ビーイングが高まることがわかっている。

つまりミドルシニアにとって、プロアクティブな人材になることで、今後のキャリア・ライフがより充実したものとなる可能性があるのだ。一方、データからはミドルシニアが直面する難しさも浮かびあがっている。

2024年調査(2万400人対象)から、ミドルシニア世代のスコアは40代後半が2.85、50代前半が2.83と他の世代と比較して低くなっている現状が明らかとなったのだ(図表2)。

図表2
図表2 年代別プロアクティブスコア(画像:日本総合研究所)

ただし、ミドルシニア世代のプロアクティブスコアが一様に低いわけではない。注目すべきはスコアが2極化している点にある。管理職のプロアクティブスコアは比較的高い一方、非管理職層の低さが目立つ(図表3)。

図表3
図表3 役職・年齢別プロアクティブスコア(画像:日本総合研究所)

ここから読み取れるのは、管理職になるというある意味わかりやすい経済的・社会的インセンティブが機能しなくなった時に、プロアクティブ行動を維持・拡大することの難しさである。

冒頭で紹介した「働かないおじさん」と揶揄される現象が、データから示される結果となったといえる。

ただ、これは個々人の問題とはいえない。管理職のポストに限りがある以上、管理職になれずキャリアの天井が見えてきたミドルシニアのプロアクティブスコアが低くなってしまうのは、労働市場が社内に閉じがちな日本型雇用の構造的な問題である。そのため「働かないおじさん」と揶揄される現象は個人の自己責任として片付けてよい問題ではない。

加えて、働かないおじさんと呼ばれる側からすれば、若いうちは仕事の成果に比べて相対的に低い給与水準で働いていたため、今になってその頑張りを回収しているという思いもあるだろう。

一方、外部環境のせいにして目の前の問題から目を逸らすわけにはいかない。自身の置かれている状況を打破できなければ、待っているのは黒字リストラやAIリストラである。 

ミドルシニアにおいて顕著に低くなるスコアとは

では、ミドルシニアのプロアクティブ行動を高めていくためにはどうすればよいのか。改めてミドルシニアのスコアを全世代の平均スコアと比較する形で確認しておく。プロアクティブスコアと各行動別のスコアを示したのが図表4である。

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