好決算が下支え、日本株「出遅れ修正」は続く 1万9000~1万9200円前後で下げ渋りか

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米10月雇用統計では失業率が5.0%まで改善。年内の米利上げ観測が高まるなか、足元のドル円が一時123円台半ばまで円安が進行している。今週に入って東京株式市場では輸出の採算改善や利益の上振れ期待から主力の輸出関連株やメガバンクなどに買いが広がりつつある。

今週(11月9~13日)は企業決算終盤戦のピークを迎え、好決算銘柄の上昇が相場全体を下支えするだろう。株式市場の地合い改善を受け、今後はセクターローテーション(循環物色)が進みやすい。再び過去最高値に接近している米国株などと比べると、日本株の出遅れ感が修正される流れが続くと思われる。

高止まりする騰落レシオは問題ない

騰落レシオとは株価指数の体温計ともいえ、一定期間の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数を除して百分比で示したものだ。通常70~120%で推移し、60~70%を売られ過ぎ(底値圏)、120~140%を買われ過ぎ(天井圏)と捉える。

ただ、①天井圏での信頼性が低くズレが生じること、②セクターローテーションの局面では高止まりすることに注意したい。ちなみに足元の騰落レシオ(25日平均)は134%。今後も120~140%での推移が続くと思われる。物色の裾野が拡がりつつある局面では、騰落レシオをあまり注視しなくてよいともいえよう。

11月10日の日経平均株価は1万9671円。5日続伸したものの、東証1部売買代金が2兆円台前半にとどまり、上値追いに市場参加者の慎重姿勢がうかがえる。25日線から6%近く上放れ短期的な過熱感もみられるなか、いったんの戻りメドとして意識される7月安値1万9737円(中国株安)に近づいてきた。

今週に入り中国の貿易統計が低調にとどまり、経済協力開発機構(OECD)が世界経済の2015年成長率を3.0%から2.9%へ、2016年成長率を3.6%から3.3%へ引き下げた。今後は13日にユーロ圏7-9月期GDP、16日に7-9月期GDP、18~19日に日銀金融政策決定会合とAPECが控えている。12月3日のECB理事会による追加緩和期待と12月15~16日の米FOMCでの利上げ観測が綱引きするなか、12月4日にはOPEC総会が予定されている。

2014年秋の原油急落が頭をよぎる投資家も少なくないだろう。オイルマネーによる換金売りや世界景気の先行き不透明感からいったん運用リスクの回避につながることも考えられる。ただ、仮に日経平均株価は揺り戻しがあったとしても、75日線や200日線のある1万9000~1万9200円で下げ渋ると思われる。同水準では年末高を見据えた押し目買いや売り方の買い戻しが交錯するだろう。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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