パナソニックが「フル電動自転車」を発表!若者向け…ではなく、真のターゲットは高齢者だった!?

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前述したとおり、まずは歩道モードでスタートする。電動アシスト自転車のそれに似たスイッチボックスの電源を入れ、右グリップの内側にあるスロットルを捻る。スロットルの可動範囲が小さめなのは、高齢者が苦労せず扱えることを目指したためだ。

右側グリップの内側がスロットル(筆者撮影)

歩道モードでは加速もゆっくりに設定されているので不安感は少ないが、車体が24kgとフル電動としては軽いこともあって、横風を受けるとふらつくこともあった。

一度停止して、車道モードに切り替えて走り始める。スロットルに対する反応はおっとりしていて、不特定多数のユーザーが安心して乗れることを想定しているようだが、最高速度の時速20kmは、けっこう速いと思った。

そこで思い浮かんだのは「水を得た魚」というフレーズだ。こちらが本来の姿であることはすぐに伝わってきた。

フレームやブレーキなど完成度の高さを試乗で実感(筆者同行者撮影)

電動アシスト自転車の実績が豊富なこともあって、加速時の違和感はまったくない。ブレーキやフレームはしっかりしていて、乗り心地は快適。さすが大手の自転車メーカーが作っただけあると実感した。

当日は平坦路のみだったが、上り坂では制御を工夫することでウイリーを防止するなど、きめ細かい安全対策を施しているという。

若者よりも高齢者に適した乗り物

長年、自転車を愛用してきた人でも、高齢になって足腰が衰えてくると、坂道が多い地域での移動は、電動アシスト自転車でもつらいと感じるようになるだろう。MUは、そんな人たちに向けた商品だと感じた。

電動キックボードのような独特のテクニックは不要で、慣れ親しんだ自転車に近い感覚で乗れることもありがたい。特定小型原付という新たなカテゴリーの真意も、ここにあるような気がした。

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たしかにインフラについてはまだ不満が残るが、国の動きが遅いなら、誰かが後押しすることも必要だ。パナソニックには車両の展開とともに、そんな動きも期待していきたい。 

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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