発表会で最初に紹介されたのは、パナソニックの創業者である松下幸之助と自転車の関わりだった。1894年に和歌山県で生まれた幸之助が、小学校を中退し、大阪に出て奉公に入ったのが自転車店だったのだ。
さらにパナソニックの前身である松下電気器具製作所を1918年に創業すると、5年後には自転車用砲弾型ランプを製品化。戦後1952年には、念願でもあった自転車業界への進出を果たした。
そんな幸之助が発したのが、「電気屋らしい自転車を作れ」という一言。この声に応えて1980年、松下電気器具製作所は国内初の電動自転車を発売する。
フル電動だったため、当時は原動機付自転車登録になり、ヒットすることはなかったが、ここで培った技術が電動アシスト自転車に引き継がれた。
今回、ひさびさのフル電動自転車であるMUの発売にあたっては、路線バスの減便や廃止が続く中で、日常の移動手段に不安を抱く人が多くなっていることを挙げた。
もちろんパナソニックだから、ビジネスのことはしっかり視野に入っていて、電動マイクロモビリティ市場が今後10年間で2倍になることも紹介された。
電動アシスト自転車に「限りなく近い」意味
こうした背景から生まれたMUは、特定小型原付でありながら、電動アシスト自転車に限りなく近い成り立ちを持つ。車輪、チェーン、ブレーキ、サドルなど自転車との共用部分を増やすことで、修理しやすくするためだ。
満充電で約40kmの距離を走れる16Ahのリチウムイオンバッテリーも電動アシスト自転車と共用で、当然ながら取り外して自宅などで充電できる。80%までの急速充電に対応するのも、同様だ。
MUという名前は、モビリティ(Mobility)とユーティリティ(Utility)の頭文字を組み合わせたもの。特定小型原付の制定以前から計画進んでいたそうで、安全啓発活動体制が整ったことで発売したという。



















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