悩んでコケて挑戦して 哲人経営者、最後の勝負(上) 小林喜光 三菱ケミカルホールディングス社長

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「出ていってやる!」 大赤字事業を抜本再建

留学を終えて東大に戻ると、研究室にはポストの空きがない。長男も誕生し、生きるためには民間企業の研究所でもいいか、と腹をくくった。自宅から通える距離にあったのが、三菱化成工業(現三菱化学)の溝の口研究所(川崎市)。一斉採用はとっくに終わっていた。赤いズボンを穿いて面接に行った。ダメもとの気持ちだったが、持参した論文が気に入られ、めでたく採用。74年12月、中央研究所研究開発室(後の理化研究所)に配属された。

ここでC1化学、褐炭液化の触媒の開発など、石油資源の枯渇をにらむ研究テーマに取り組む。文字どおり、企業の将来を担うエリートコースだが、10年経ってもビジネスに結び付く成果が上がらない。「せっかく生きようと思ったのに、成果もなく静かに死んでいくだけなのか。俺しかできないことを残したい」。=敬称略= <(中)に続く>

こばやし・よしみつ
最近の学生の就職観に大いに疑問を感じている。「でっかい企業に就職して生活を安定させたい、という思考でしょう。相変わらず、就職を就社と思っているんじゃないの。就職は会社ではなく事業に就職する、就業なんですよ。新しいものを切り開くチャレンジングな精神が薄れている。こういうことで日本の活力は大丈夫なのかなぁ」。

(武政秀明 撮影:山内信也 =週刊東洋経済2012年5月19日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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