「今思うと、大学入試の浪人はすごく楽でした。人によって感じ方が違うかもしれませんが、何の責任もない立場でしたし、誰かからの圧力を受けている人はきついと思いますが、自分は先生からの圧力も感じなかったので気楽に受験できた部分もあります。
でも大学院は違いました。大学院には指導教員がいて、学部時代から修士に進む前提で研究の話をします。受かる前提で見られているので、受かってもプラスがなくて、落ちたらマイナスしかない状況だと感じていたので、大学院入試の勉強は自分にとって苦痛でした。圧力がない方が、いい勉強ができて成績が伸びるんじゃないかと院試を通じて感じました」
浪人で得たもの
大変な思いを経験して大学院生になった田村さんですが、今後は博士課程まで進んで、研究者になるために頑張りたいと考えています。最後に、自分が浪人を経験した意味について振り返っていただきました。
「浪人をした意味という観点から言うと、今の立場から考えれば、浪人の1年は必要だったのかなという気持ちもなくはありません。もし、自分が適当に勉強して現役で東工大に受かっちゃったら、その後が大変だった気がします。大学や、その後の大学院で勉強するためには、運じゃなくて、確実に受かる学力を身につけた方がよくて、自分の浪人生活は、どういうふうに勉強すればいいかを理解する時間だったのかなと思います。
多くの人は問題を読んで、解法を覚えるという繰り返しで勉強をします。高3の時点で頭のいい人は元からそういう勉強していても普通に受かっていきますが、そうじゃない人はちゃんとした理解ができないまま暗記に頼る勉強を進めて、どこかで限界が訪れます。自分はその勉強法の限界に気づいて、自分に合った勉強法に気づけたのが浪人の1年だったので、意味があった時間だったのかなと思っています」
浪人を通じて確かな学力と、自分なりの思考方法に辿り着いた彼は、粘り強く、さまざまな視点からアプローチをする研究者になるのだろうと感じることができました。
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