日米共同声明、中国の軍事的台頭背景に日米軍事態勢の再構築へ


日本のODAの戦略的活用としては、事例として「沿岸国への巡視船の提供」を挙げている。これはフィリピンを念頭に置いたものだ。今まさに、南シナ海のスカボロー礁の領有権をめぐって中国の監視船とフィリピンの巡視船がにらみ合いを続けている。フィリピンは現在、海空軍力が実質ゼロの状態で、「非武装国」の悲哀を味わっているところだ。そこで、米比防衛条約に活路を見いだそうと、米国に必死にすり寄っている。そうした中での日本のODAによる巡視船供与は、一種の“軍事援助”ともみられるだけに、南シナ海問題に日本はいっそう関与することになる。もちろん、それが東シナ海問題でも自らにプラスになると考えているからだ。

日米防衛協力で何か新しいことを始めると、つねに「米国の軍事戦略に巻き込まれた」論が出てくる。今回は民主党政権のためか、そうした声は大きくないようだが、中国の軍事的台頭は日本にとっても、防衛上の重大事だ。従来以上に主体的に対応策を考えていく必要があろう。

(シニアライター:中川和彦 =週刊東洋経済2012年5月19日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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