豪州がアジアの「食ブーム」に熱視線 通貨安で輸出が急増

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オーストラリア食品・食料品協議会のリポートによると、豪州の食肉輸出は、干ばつの影響で米国の生産が落ち込んだこともあり、6月までの1年間に43%急増して140億豪ドルに達した。

オーストラリア最大の上場牛肉生産会社オーストラリアン・アグリカルチュラル・カンパニー<AAC.AX>は輸出急増で、業績の黒字化を見込んでいる。

過去12カ月間に豪ドルの対米ドル相場<AUD=D4>が15セント下落したことも、オーストラリアの生産者の国際競争力を高めている。

中国、日本、韓国と締結された自由貿易協定(FTA)によってアジア市場へのアクセス拡大や、豪州産食料の関税引き下げも約束されている。

ワインやジンジャービアが人気

オーストラリア食品・食料品協議会のリポートによると、豪州産ワインも需要があり、年間輸出は18%伸びた。

世界最大手の独立系ワインメーカー、トレジャリー・ワイン・エステーツ<TWE.AX>は、2017年6月までに同社利益へのアジア市場の寄与度が他の市場をしのいで最大になると予想する。

同社の広報担当者は「最近の豪ドル安や市場へのアクセス向上、われわれのワインブランドに対する消費者の強い需要のすべてが(プラスの)要因になっている」と指摘した。

また、バンダバーグ・ブリュード・ドリンクス・インターナショナルのジンジャービアの輸出売上高は過去2年間に20%近く増加し、現在同社の事業の3分の1を占める。

家族経営で年間売上高1億豪ドル、従業員数200人の同社は輸出が最終的に国内の売り上げを上回ることに期待を寄せる。

ジョン・マクリーン最高経営責任者(CEO)は、輸出代金の請求処理を顧客の国の通貨で行うようにしたことが売り上げの伸びに寄与したと指摘。対主要通貨で豪ドルが6─18%下落したことが、採算性を高めたとしている。

 

(Cecile Lefort記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)

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