"フェイクニュースが命を奪う時代"だからこそ考えたい「立花孝志氏の逮捕劇」が突きつける民主主義への深すぎる課題
兵庫県警の村井紀之本部長(当時)は1月20日、県議会で「竹内氏を被疑者として任意の取り調べをしたことはない。ましてや、逮捕するという話はまったくない」と、立花氏の主張を完全に否定。「まったくの事実無根で、明白な虚偽がSNSで拡散されていることは極めて遺憾」と述べた。捜査機関として極めて異例の対応だった。
兵庫県警が明確に否定したのが効いたのか、立花氏はその翌日、「(竹内氏の逮捕は)事実ではなかった」と謝罪した。
このとき、立花氏はテレビの取材に対して「社会部的な情報の詳しい方から情報が入って、別の方にも確認した。この方も県議会議員とか詳しい方なので、『逮捕の事実はないけれど、取り調べを受けていると聞いている』と聞いて、それなりの自信はあった」と弁明した。「真実相当性がある、あるいは真実だと信じるに足る相当な理由があるから、違法性また故意はない」という主張だ。
もっとも、「立花が怖い」とおびえながら自ら命を絶った竹内氏に対する良心の呵責は、始終皆無だったのだろう。千葉県知事選に出馬した立花氏は、3月1日に神戸市の三ノ宮前のフラワーロードで演説し、「政治家が誹謗中傷批判されるくらいで死ぬんだったら、とっとと政治家やめろと言っている」と吐き捨てた。
問題を深刻化させた「フェイクニュース」の横行
昨年7月に元県民局長が姫路市内の実家で自死したことから始まった兵庫県問題は、なぜこれほど深刻化したのか――。その大きな要因と考えられるのが、ネットを通じて横行した「フェイクニュース」である。
実際に昨年11月の兵庫県知事選では、筆者のもとに知人から「立花さんが立候補してから、いったい何が事実なのかがわからなくなった」との連絡が来た。新聞やテレビよりもネットから入る情報が増えたためだった。
ネット情報には真偽が怪しいものが少なくないが、そのまま鵜呑みにする人もいる。そうした情報は「不快」や「怒り」を誘導するため、関心を引きやすい。マサチューセッツ工科大学が2018年に行った調査では、フェイクニュースは事実よりも20倍速く拡散するという研究結果が出ている。



















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