「いったい何兆円の経済効果…?」「インバウンドはさらに増える?」"江戸城天守再建"プロジェクト「投資のプロ」の驚きの見方

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世界の人に買ってもらう、日本発の何かとは? たとえば、工業製品、漫画・アニメコンテンツ、インバウンド観光を輸出できるのか。そしてファンになってもらうとは、日本への留学、就職、投資などを受け入れられるのかということだ。

これは日本だけでの話ではない。世界中の国が、外国との付き合い方についての質と量の改善と、常に戦っているのだ。

この夏の参議院選前後より、日本社会における外国人の存在についての必要なルール作りの議論も進んでいる。

外国人に、日本では日本のルールを守ってもらう、安全保障に関わる機関を新設する、外国人の不動産などの資産購入に一定のハードルを設けるなどは、正しい方向性であろう。

この目的は、仮に短期的には日本と世界を遠ざけるものであっても、長期的に日本と世界の関係の深化をより進めるために必要なものである。

日本が海外で稼ぐ手法は大きく変化している

次に、日本が世界から稼ぐ手段の変遷を見てみよう。昭和から令和まで、日本は巨大な世界経済から、手を替え品を替え、上手に稼いできている。

〈日本が世界経済から稼ぐ手段の変遷〉
〔1〕昭和:加工した工業製品で稼ぐ【貿易】
〔2〕平成前半:海外進出した現地法人で稼ぐ【直接投資】
〔3〕平成中盤:アニメ・漫画などコンテンツで稼ぐ【知的財産】
〔4〕平成後半:インバウンド観光で稼ぐ【サービス】
〔5〕令和:NISAなどを通じた外国への証券投資で稼ぐ【証券投資】

実に見事な変容である。

これら〔1〕〜〔5〕を含めた国境を越える経済活動は、経常収支として発表されており、日本の経常収支は、オイルショックや震災時などの特別な時期を除けば、一貫して大きく黒字。現在、その金額規模は世界3位であり、下図の黒の折れ線グラフを見ても分かるように、2023年や2024年も過去最高値を更新している。

財務省 国際終始状況の概要 令和6年度
(出所:財務省 国際終始状況の概要 令和6年度より)

つまり、過去から現在まで、日本は外国から稼ぎまくっている国なのである。そして、その稼ぎが、日本が長年世界一を誇ってきた対外純資産の源泉ともなっている。

そんな海外で稼ぎまくっている日本であるが、足下では、輸入物価インフレ(コストプッシュ・インフレ)が我々の生活を直撃している。日本は世界で稼ぎまくっているのに、ここ数年、日本円が弱くなっているのはどうしてだろうか。

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