マルちゃん正麺が「瞬間風速でトップ」の波紋 東洋水産に抜かれた日清の逆襲はあるか

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11月5日、東洋水産はあるリリースを発表する。10月末の時点で、「正麺カップ」の累計出荷数が100万ケース(1ケースは12カップ入り)、つまり1200万カップを突破したというのだ。発売から1カ月弱での達成は、東洋水産で史上最速。同製品の希望小売価格は税抜き205円だから、1200万カップは、約25億円に相当する。

ちなみに、カップ麺全体の市場規模は、約4070億円だ(2014年ユーロモニター調べ)。足元の売り上げについて、東洋水産では非公表だが、「いい数字が出ているんですよ」と神永氏は微笑む。

が、東洋水産のライバルであり、即席麺業界の首位に君臨する、日清の逆襲はすでに始まっている。「正麺カップ」発売から2週間がたった10月19日、日清はノンフライ麺の「ラ王カップ」をリニューアルすると発表。11月9日の全国発売開始に合わせ、新しいテレビCMも公開する。

迎え撃つ日清は広告テコ入れ

4年前に袋麺で東洋水産の「正麺」の後塵を拝して以来、袋麺の販売促進に全力を注いできた日清。今後は絶好調の「正麺カップ」に対抗すべく、カップ麺広告の強化に焦点を合わせる。

日清の田淵義章・マーケティング部ブランドマネージャーは、今から自信をのぞかせる。「袋麺でブームを起こした正麺ブランドから、カップ版が出るのだから、お客様も一度は手に取るだろうなと想定していた。誤解を恐れずに言えば、“浮気”をしたお客様に、一日でも早く戻ってきてもらいたい」。2011年の“マルちゃんショック”のときほど、危機感はないようだ。

東洋水産の「正麺」VS日清の「ラ王」。軍配はどちらにあがるのか。首都大学東京でマーケティングを教える水越康介准教授によると、「正麺もラ王も、認知度は高まってきたが、まだ麺やスープの美味しさという、機能の新しさで売っている。カップヌードルのように、確固たるブランドイメージを築き、消費者の情緒に訴えられるかどうか」が課題だ。

「シェアを奪い合うのではなく、一緒に即席麺市場を盛り上げていきたい」。東洋水産の神永氏も、日清の田淵氏も、そう口を揃えた。が、現場では、これから熾烈な争いが始まろうとしている。熱くなる一方のカップ麺市場から目が離せない。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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