JR東海リニア「車両の進化」と工事費膨張の明暗 物価高や難工事で4兆円増額、開業はメド立たず

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リニア M10 車内
リニア試験車両「M10」の車内。天井をスクリーンとしてルートや走行位置を映し出す(記者撮影)

夢の超特急に乗ればワクワクするのは当然だ。報道陣を招いたリニア車両の体験乗車会。日頃はリニアに手厳しい記者たちも、車両の速度が地上最速の時速500kmに達すると、みな速度表示の画面を撮影していた。

この車両はJR東海が新たに開発したL0(エルゼロ)系改良試験車両「M10(エムジュウ)」。7月から試験走行が始まり、10月30〜31日に山梨リニア実験線(山梨県大月市)において体験乗車会が催された。車内の様子が公開されたのはこれが初となる。

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車内の天井がスクリーンに

M10の車内で目を引くのは天井いっぱいに映し出されるさまざまな映像だ。荷物棚付近に設置された数多くのプロジェクターが天井をスクリーンに見立てて、ルート上の走行位置、速度などを投影する。リニアはほぼトンネル内を走るため窓から風景を楽しむことが難しい。「試験的に導入してみた」(JR東海広報)とのことで、営業運転で採用するかどうかは未定だ。

【写真】リニア新型車両「M10」は天井にルート上の走行位置や速度などが映し出されるのが特徴。映像を映し出すプロジェクターやリクライニング機能を廃止した座席など初公開の車内の様子。従来の「L0系」の車内やトンネル工事の現場も

実際に導入するとしたら、荷物棚のスペースを増やすためにプロジェクターを壁の内部に格納するとか、プロジェクションマッピングではなく液晶ディスプレイを設置するといった現実的な方法を探ることになるだろう。いずれにせよ、時速500kmの世界を実感するためにこうしたサービスはありがたい。

東京側の上野原市付近から名古屋側の笛吹市付近まで実験線の全長は42.8km。この区間をわずか8分で走破する。走り始めは車輪での走行だったが、時速150〜160kmの間で浮上走行に移る。「まもなくタイヤでの走行から浮上走行に移ります」というアナウンスが流れた。

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