米中「入港料戦争」いったん休止でどう変わる? 目先は混乱収束も、海運会社の自衛策撤回の可能性は小さい

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従来の航路は「韓国・釜山→中国・寧波→アメリカ・ロサンゼルス→日本・横浜→韓国・釜山」の順に寄港していたが、今回の変更により、同航路に投入されている2隻の船舶の寧波港への寄港は取りやめ、従来、寧波で積み下ろししていた貨物は、今後は韓国・釜山で小型船に積み替え、寧波へ転送することにした。

アメリカからの船舶が多数入港していた中国・上海港。入港手数料徴収決定以来多くの船会社が迂回、積み替えなどの回避策を講じた(同港の運営会社、上港集団のウェブサイトより)

入港手数料の徴収停止が発表されてからアメリカ-中国間の海上輸送運賃は上昇を続けている。上海航運交易所の最新データによると、10月31日時点の上海港発アメリカ西海岸および東海岸の主要港向け輸出の海上運賃(サーチャージを含む)は、それぞれ2647ドル(約40万3000円)/FEU(40フィートコンテナ1個分相当)、3438ドル/FEUとなり、前週比で22.9%、13.4%上昇した。徴収停止により両国間の荷動きが再び活発化する兆しといえる。

中国造船会社への発注の流れ変わらず

国際海運大手は、これまで入港手数料を回避するために「船の差し替え」「航路の分割」「迂回ルートの設定」など、さまざまな対策を講じてきた。基本的な運用体制は整っていることから、あるアナリストは、「今回の相互制裁の一時停止という政策変更があっても、これらの対策が短期的に撤回される可能性は低いだろう」と分析する。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

注目すべきは、アメリカの入港手数料徴収の主要なターゲットとなった中国造船業界は、現在すでに受注がすでに飽和状態にあるということだ。手数料を徴収されるので、中国の造船会社への発注をストップするというような制裁効果はそもそも期待薄だったということだ。

今年に入っても、スイスのMSC、マースク、フランスのCMA CGM、カナダのシースパンといった大手海運会社やギリシャ系の船主数社は、中国の造船所への発注を続けている。10月29日、遼寧省大連市の恒力重工集団は、ヨーロッパの船主から超大型原油タンカー(VLCC)2隻を受注したと発表した。契約総額は約2億~3億ドル(約305億~457億円)に上るとされる。

(財新記者:包志明)
中国語原文の配信は10月30日

※本記事は原文を要約し、日本の読者向けに適宜補足したものです。
財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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