中国は自由で開かれた貿易の守護者になったのか? 世界経済の主導役はアメリカだったはずだが、いつの間に中国にその座を奪われていた

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トランプ氏もASEAN首脳会議中に4つの貿易協定を締結したものの、米国の貿易障壁が減った案件はゼロで、むしろ障壁が高まったケースも幾つかあった。例えば中国を念頭に他国との間で「米国の重要な利益を損なう」関係性を強化した場合、関税率が上がるとされている。

米シンクタンク、スティムソンセンターの東アジアプログラム共同ディレクター、ユン・スン氏は「一連の自由貿易協定改定で地域経済への関与という面で中国の支配的立場は強化される一方になる。それに比べて米国と各国との二国間協定は状況に左右されやすく、対象範囲も限定的だ」と指摘した。

中国の狙い

習氏がAPEC首脳会議に、李強氏がASEAN首脳会議にそれぞれ出席した中国は、周辺国との関係を深めたいという強烈なメッセージを送っている、というのが複数の専門家の分析だ。

しかし、周辺国の中国に対する警戒感は根強い。例えば日本の政府関係者は、希土類(レアアース)の輸出規制を例に挙げ、自由貿易の守護者のような中国の振る舞いは見せかけだと話す。

中国とグローバルサウスの関係を分析している「ザ・チャイナ・グローバルサウス・プロジェクト(CGSP)」のエリック・オランダー氏は、中国の戦略は「貿易拡大やインフラ開発、サプライチェーンの物流を通じて、この地域(アジア太平洋)を中国経済に結びつけ、各国が中国との関係を断ち切るのが現実的でなくなる段階に持って行くこと」を狙っていると付け加えた。

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