バレエを"やらない人"が老舗バレエ用品メーカー「チャコット」で買い物をする理由 今やバレエだけじゃない意外な成長柱
「ブランド再構築の方針は、コロナ前にすでに決まっていた。一部計画が止まった部分もあったが、根本的な理念は変わらなかった」と馬場氏。
しかし、売上高は18年2月期112億円から21年2月期には71億円と大打撃を受けた。これが同社の「選択と集中」による事業の再編に拍車をかけることとなる。
非効率な事業を見直し、長年の柱だった社交ダンスや民族舞踊からの撤退・縮小を断行。非効率な店舗を移転・改廃など31店舗から23店舗に削減した。そこから生まれる余力を、新たな店舗へと投資することで効率を改善したのだ。
さらに、祖業であるバレエを柱にしつつも、生活者との接点を生み出す新たな分野として、コスメとフィットネスを強化する方向性を決めた。特に、コスメへの投資は、売上・利益絶対額の拡大を担う重点ポイントだ。
「もともと舞台からスタートしたので汗に強い。また、お子さんの発表会でも使われるので肌に優しい。今まで舞台で培ってきた技術を提供できれば、一般の方々のお困りごとにも役立ち、社会にも有益。さらにビジネス的にもチャンスが大きい」(馬場氏)
ぐんぐん伸びている“コスメ”
コロナ禍に社交ダンスから撤退したことで落ち込んだ売上も、コスメがその穴埋めをできるほどまで育ってきているという。
同社の売上構成比は、19年度にはバレエを中心としたダンス・ステージ部門は75%、コスメ、フィットネスを中心としたライフスタイル部門は25%。うち撤退・縮小した社交ダンス・民族舞踊は、全体の12%を占めていた。
しかし、25年度にはコスメが30%以上に伸長。ダンス・ステージ部門とライフスタイル部門の構成比は6対4までその差は縮まっている。
同社の柱であるバレエの占める割合は、全体の40%程度。バレエ人口の減少により、今後はこのバランスも変わってくるのかと思いきや、「バレエ市場の縮小は感じていない」と馬場氏は断言する。
「いわゆるバレエ教室で習うバレエ人口は減っているが、最近では『大人になってからバレエを始める人』が増えている。フィットネスクラブでのバレエレッスンや、健康目的でのカジュアルなバレエなど、裾野は広がっている。
実際、売上データを見ても、人口減少の割には堅調で、むしろ伸びている部分もある。こうした大人世代の新しいバレエ需要を支えることで、全体の成長につなげたいと考えている」(馬場氏)


















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