「別に日本のお笑いしんどくないよ?」「やっぱり松本人志は面白い」と賛否両論…好スタートの『DOWNTOWN+』拭い切れない《3つの懸念》

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いくら自社のプラットフォームだからといって、何をしても、何を言ってもいいわけではないし、不祥事を起こした芸人を起用することにも限度がある。

宝塚歌劇団の劇団員の自殺問題で、宙組の公演が8カ月半休止になった事例もある。

「DOWNTOWN+」の本当の意義

最後の懸念点は、現状の「DOWNTOWN+」は松本人志さんに依存するところが大きいが、これが今後リスクとなる可能性は高いという点だ。

今後、松本さんに別の不祥事が起きないとも限らないし、健康上の問題が起きないという保証もない。

初回放送を見る限り、松本さんの勢いはまったく衰えていないように見えたが、過去に何度か松本さんは引退をほのめかしている。

大がかりな配信プラットフォームを構築しただけに、松本人志さん、あるいはダウンタウンに依存し続けることは今後リスクとなるだろう。

あらためて振り返ってみると、松本さんは不祥事がなければ、継続的に現役で活動しており、どこかのタイミングで引退することになっていただろう。その場合も、日本のエンタメ業界に残した功績は多大であったとは思う。

ただ、1年10カ月の不本意なブランクが、新たなチャレンジのきっかけを生んだのは確かだろう。現時点では、まだ「ピンチをチャンスに変えた」とまでは言えないだろうが、「エンタメ業界の壮大な実験を行っている」ということは言えるように思う。

日本のエンタメ業界が、外部のグローバルプラットフォーム(しかもその多くは外国資本)に依存することなく、独自のプラットフォームを構築して、自前でビジネスを行うことができれば、日本のエンタメ業界も大きく変わるのではないだろうか?

現在は松本人志さんの動向に注目が集まっているが、本当に注目すべきなのは、「DOWNTOWN+」が日本のエンタメ業界の新たな地平を切り拓くことができるのかどうかだ。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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