午前8時からはじまる朝食付き工場見学。ここだけの"焼きたて"笹かまがふわっと絶品!1日に約10万枚生産する仙台・鐘崎「笹かま館」
実際に食べてみると、ふわっとした食感と魚の甘みが口いっぱいに広がる。見学で聞いた説明や、目の前で見た職人の手さばきを思い出しながら味わう一枚は、何倍にもおいしく感じられる。
地元では、モーニングの代わりに訪れるリピーターも増えている。同社ではこうした動きをうれしく受け止めており、震災を経て、地域の人が集う場としての役割も意識するようになったという。
改めて、鐘崎における工場見学の位置づけについて尋ねてみると、渡邉さんはこう語った。
「CSRの要素もありますが、それ以上に食文化の継承という使命を感じています。笹かまは、宮城の食文化そのもの。子どもたちや観光客がここで学び、味わうことが地域への理解につながると思っています」
観光シーズンには県外客に加え、台湾などアジア圏からの参加も増えているという。海外の参加者にとって、笹かまは未知の食べ物。日本らしさを体感できる貴重な機会となっている。
傾向として、来館者の楽しみ方にも変化が見られるという。
「今は“モノ”より“コト”“トキ”といった体験そのものに価値を感じる方が増えています。そのため当館でも、“ここでしかできない”体験や飲食を楽しみに来られる方が多いですね」
厳しい笹かま業界で見つけた勝機
一方、笹かま業界全体は、原料高騰や贈答文化の縮小といった課題に直面している。そこで同社は、魚を日常的に楽しめる新ブランド「杜のこんだて 鐘崎」を2013年に立ち上げた。肉の代替品として魚を使った総菜など、健康志向の流れにも合致し好調だ。2025年10月8日には6店舗目となる「杜のこんだて鐘崎イオンモール仙台上杉店」もオープンした。
「宮城は、実はメタボ率が全国でも高い県なんです。だからこそ、地元の方々の健康を支えたいという思いがあります。鐘崎としても、かまぼこ事業に次ぐ柱として、“日常的に使っていただけるサービス”へと進化していければと考えています」
最後に今後の展望について尋ねると、渡邉さんは「究極の没入型体験ができる工場見学をつくりたい」と語った。笹かま館では現在も、気軽に楽しめる手づくり体験から、職人に教わる本格的な体験まで幅広く用意されている。さらなる没入体験とは、いったいどんなものなのか。いち工場見学マニアとしても、今後の展開が楽しみでならない。
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