JR「輸送密度」ブラックボックス化した計算根拠 赤字路線の利用促進へ「詳細データ公表すべき」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
全国屈指の赤字路線である芸備線を走る車両(写真:Lemon Cake/PIXTA)

2025年9月12日、JR九州は過去に公表した路線別の利用状況で計27件のデータが誤っていたと発表した。収支が各区間で最大200万円程度異なっていたほか、輸送密度の数値も一部で誤りがあったという。

コロナ禍以降、JR東日本やJR西日本でも毎年、赤字線区の輸送密度を発表しているが、こうしたデータは正確に計測されたものなのだろうか。鉄道政策に詳しい京都大学名誉教授の中川大氏は、「JRをはじめとする多くの鉄道事業者がデータを重視するような経営を行っているとは言えない点が問題だ」と指摘する。

利用者データを正確に把握しない

――JR各社が公表している輸送密度について、どのような点が問題なのでしょうか。

輸送密度に限らず、JRをはじめとする多くの鉄道事業者がデータを重視するような経営を行っているとは言えない点が問題だと考えています。顧客の行動データを正確に収集して経営に生かすことはサービス産業として当然のことです。しかし、JRはDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進すると言っているにもかかわらず、最も基本であるはずの利用者データを正確に把握しようとしていない現実があります。

――輸送密度とは、本来どのように計算されるものなのでしょうか。

輸送密度は平均通過人数と言われることもあり、説明しにくい指標ではありますが、間違った説明も多くみられます。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事