JR「輸送密度」ブラックボックス化した計算根拠 赤字路線の利用促進へ「詳細データ公表すべき」

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――JR東日本とJR西日本に輸送人員と乗車距離の測定方法について問い合わせしましたが、金額式乗車券や整理券式車両の料金箱の収入についての集計方法や配分方法については答えられないということでした。

輸送密度が定期的に公表されて、多くの人が注目する指標になっているわけですから、計算方法すら示せないのはおかしいと思います。

――JR東日本とJR西日本に対して、次の5項目について質問を行いました。

1.例えば、路線の分岐駅などで販売されている金額式の普通乗車券については、各区間に配分されていると思われるが、その配分率はどのようにして決められているか。
2.整理券式車両の料金箱の収入は、その車両が運行された各区間にどのように配分されているか。また、金額をどのようにして「人」に換算しているか。
3.発着駅名と経路が明記されている普通乗車券については、通過したすべての区間における乗車距離を求めてそれぞれの区間に集計する方法か。
4.普通乗車券の枚数は膨大だと思われるが、全数を区間別に集計しているのか。抽出して集計されているのであれば、どのような方法で抽出されているか。
5.他のJR社が販売した切符についてはどのように(乗車人数に)算入しているか。

JR東日本は、1と2の質問については答えられないということでしたが、3は「すべての区間で通過した路線ごとに集計」、4は「乗車券類の発券データを基に、原則として全数集計」、5は「会社間で清算を行い集計」と回答しました。一方で、JR西日本は「経営上機微な情報であるため詳細は差し控えたい」と回答しました。この点についてはいかがでしょうか。

JR東日本の全数集計という回答については、本当に全数集計しているのであれば月別や曜日別などのデータも出せるはずです。利用を促進するために発表しているはずですので、できるだけ正確な情報を早く発信して地元の皆さんと事業者が協力し合って少しでも利用を増やしていくようにするのが、データの本来の使い方ではないでしょうか。

どのようにして計算したかもわからない数値が年に1度だけ発表されるような状況では、利用促進に努力しておられる沿線の皆さんも力が入りにくいと思います。JR西日本からの回答も含めて、輸送密度については大きく報道されている値であるにもかかわらず、その計算内容を明らかにできないというのは誠実な対応ではないと思います。JRは利用促進をしたくないのでしょうか。

行き先別の券売機を導入すべきだ

――少しでも正確なデータを収集するためにどのような取り組みが考えられるでしょうか。

新見駅で発売された切符がどの路線で使われたかがわからないのは、JRの券売機の多くが金額式であるためです。新見駅から510円という切符ではどの駅に行ったのかわかりませんよね。民間鉄道や第三セクターを中心に最近は、金額式ではなく目的駅名をタッチして購入する券売機が増えています。このような券売機であれば、どこに行ったかというデータを得ることができます。

以前の券売機はボタン式でしたから目的駅を選ぶ方式は難しかったのですが、現在はディスプレイ式が多くなっていますので、目的駅方式に変えることができるはずです。海外の券売機のほとんどが目的駅方式ですので、外国人にも使いやすくなるというメリットもあるうえ、輸送密度などのデータの精度も高まります。

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