JR「輸送密度」ブラックボックス化した計算根拠 赤字路線の利用促進へ「詳細データ公表すべき」

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――日本では、公共交通政策の透明性の確保に必要なオープンデータの整備が、欧州に比べて極端に遅れていると言われています。

そうですね。例えば、輸送密度は国土交通省が発行する鉄道統計年報で発表されていますが、公表が遅すぎます。いまだに2022年分しか発表されておらず、コロナ禍後の回復過程の分析もできません。また、利用者数や収支などが路線ごとに公表されるのは民間鉄道と第三セクター鉄道だけで、JR路線についてはこれらのデータは示されていません。

そのほかのデータに関しても、例えば日本の鉄道ダイヤは世界で最も正確と言われますが、最近よく遅れると感じている人も少なくないと思います。本当に世界で最も正確なのかどうかは実はわかりません。日本は鉄道の遅れ時刻を公表していないからです。JRは運行ダイヤをグーグルマップに提供していない世界で数少ない主要鉄道事業者であることなど、データのオープン化は遅れています。データを迅速に整備・公開することは、国の鉄道政策の基本にならなければいけないはずですが、国の対応は極めて遅れています。

自民党からの回答は?

――政府・与党は改善に向けて動いていないのでしょうか。

公共交通に関してさまざまな活動をしておられる全国路面電車ネットワークが、先日の参議院選挙に向けて、主要7政党にアンケートを実施しましたが、それに対する自由民主党からの回答は、ゼロ回答と言える内容だったようです。

参院選2025 都市交通政策 政党アンケートhttps://racda-okayama.org/archives/5025(資料:全国路面電車ネットワーク)

日本には鉄道政策と言えるような国の政策は全く存在していないとも言えるような状況です。せめてデータはしっかりと整備・公開していくべきだと思います。

櫛田 泉 経済ジャーナリスト

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くしだ・せん / Sen Kushida

くしだ・せん●1981年北海道生まれ。札幌光星高等学校、小樽商科大学商学部卒、同大学院商学研究科経営管理修士(MBA)コース修了。大手IT会社の新規事業開発部を経て、北海道岩内町のブランド茶漬け「伝統の漁師めし・岩内鰊和次郎」をプロデュース。現在、合同会社いわない前浜市場CEOを務める。BSフジサンデ―ドキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」番組監修。

 

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