沖縄の製造業として初の上場「オリオンビール」→Tシャツ流通額は60億目前、戦後生まれの"沖縄のソウルドリンク"が示す郷土と世界をつなぐ挑戦
そして曲のクライマックスではこう畳みかける。「新築祝いであっり乾杯 入学祝いであっり乾杯 卒業祝いであっり乾杯 にーびちさびたんあっり乾杯」。「あっり」は掛け声の「それ!」のような意味で「にーびちさびたん」は「結婚しました」という意味。「祝いの場に持っていくなら地元のビールで」という深層心理のようなものが、沖縄県民にはなんとなく、且つ、深く根付いていると言える。
 
外資買収後にむしろ強まった“沖縄色”
2019年にオリオンビールが“外資”に買収された際には、「オリオンビールは沖縄のビールではなくなるのか」という不安感が広がった。規模の小さな沖縄企業が、県外や海外の資本に飲み込まれてしまうというケースは安易に想像できる。しかし、むしろ買収後のオリオンビールはより鮮明に沖縄カラーを色濃く打ち出したように見える。
その年に展開を開始したオリオンビール初のチューハイブランド「WATTA」。前述した「ワッター(=俺たち)」にネーミングをかけてみせた。チューハイへの参入に「オリオンビールがビール以外の道にぶれた」という“保守層”からの雰囲気こそ当初は感じられたものの、パイナップル、シークヮーサー、パッションフルーツ、カーブチー(沖縄の在来種ミカン)などのラインナップで「沖縄県産素材の果実を使った沖縄のチューハイ」という地元感・特別感をより印象づけた。
 
2020年には、主力商品「オリオン ザ・ドラフト」の原料に、沖縄・伊江島産の大麦を採用し「県産品」としての位置づけを強化した。2024年の同商品リニューアル時には沖縄県民1万5000人以上を対象に試飲・アンケートを実施して「より沖縄県民の好みに合わせた」経緯がある。
そして、次に取り組んだのは「社員みんなで沖縄の野山を駆け巡った」(村野社長)ことだ。
上位グレード品の「オリオン ザ・プレミアム」に使う酵母を探すためだ。「沖縄にあるいろいろな植物や花から約3000もの酵母を採取したものの中からようやく1つを発見したものです。沖縄の酵母を使うということにこだわりを持っています」。





 
         
         
         
        
       
           
           
          
         
          
         
         
         
         
        












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