携帯4社が災害時に「エリア分担」を開始。能登半島地震で露呈した避難所支援の重複と遅れを協力体制で解消する狙い
倉内氏は「被災者に『誰でも使える』と分かってもらうことが大事だ」と話した。ロゴを出すことで、支援が特定のキャリアだけのものじゃないと示す。
2024年12月から積み重ねた連携
能登半島地震をきっかけに、4グループは災害支援での協力を本格化させた。2024年12月1日、「つなぐ×かえる」プロジェクトとして、ネットワークの早期復旧に向けた協力を始めた。アセットの共同利用と船舶の共同利用が2本柱だ。
アセット共同利用では、宿泊施設、資材置き場、給油拠点を4社で使う。各社が別々に押さえていた拠点を出し合い、効率よく回す。2025年1月28日には神奈川県平塚市で給油拠点の共同利用訓練を実施した。大規模災害を想定し、各社の復旧車両が給油拠点に集まって給油手順を確認した。被災地では燃料不足が深刻になるケースが多く、給油拠点を共有できれば復旧作業を止めずに済む。
船舶の共同利用では、NTTグループの「きずな」やKDDIの「ケーブルインフィニティ」を船上基地局にする。陸路での復旧が難しい地域に、海上から通信環境を届ける。2025年3月4日から6日にかけ、長崎市で船舶の共同利用訓練をした。NTTグループのケーブル敷設船「きずな」の船上に、各社が基地局を設置したり、物資を輸送したりする手順を確かめた。船への機材の搬入や設置の工程が滞りなく進むことを確認できた。
さらに2025年7月、避難所支援の情報連携を始めた。各社が支援する避難所の情報(通信サービスや充電サービスの提供状況など)を共有し、問い合わせ先も掲示する仕組みだ。7月のカムチャツカ沖地震や10月の台風22号・23号で使った。この時点では情報を共有するだけだったが、今回の新体制では一歩進めて、エリアを分担する仕組みを入れた。


















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