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「サトシ・ナカモト」の文体に似ている…謎に包まれたビットコイン発明者を特定する手がかり

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つまり「ニックがホワイトペーパーを書いたか、あるいは誰かがニックの文体を模倣して書いたと考えられる」とグレイは主張した。そのうえで、ナカモトが使った「favour」のような英国式のつづりをニックは使わないことにも触れ、「著者が複数人いた可能性が高い」か、もしくはペネンバーグが考えるように、「イギリス英語を偽装のためにあえて混ぜたのかもしれない」と結論づけている。

不自然な沈黙

『サトシ・ナカモトはだれだ?: 世界を変えたビットコイン発明者の正体に迫る』(河出書房新社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

グレイは、他にもニックを指し示す証拠があると考えた。なぜホワイトペーパーでは、アダム・バックやウェイ・ダイは引用されているのに、明らかに直接的なインスピレーションの源だったニックは引用されていないのか。分散型デジタル通貨を一貫して提唱してきた人物の1人であるニックが、ビットコインの発表から数か月も経過してから、長いエッセイの最後のほうで、捨て台詞のようにちらりと触れる程度にしか言及しなかったのはなぜだろうか。

またグレイは、ホワイトペーパーが発表される6か月前の2008年4月に、ニックがブログで「ビットゴールドは実証や実験的なマーケット(実際のシステムに必要な複雑なセキュリティーの代わりに、信頼できる第三者機関を置くなどして)があれば大きく前進できるだろう。誰かコーディングを手伝ってくれないだろうか?」と記していることも指摘した。ところがビットコインが世に出ると、数か月前まではニックが積極的に関心を寄せていたビットゴールドのプロジェクトは「完全に沈黙した」のだ。

少なくとも、ホワイトペーパーの主要な執筆者はニックである、とグレイは主張した。ビットコインのコーディングは、誰か他の人が担当したのだろう。「ビットコインを発明したサトシのような人物であれば、いきなり他人のアイデアを作り込み始めるよりも、まずはプロジェクトの生みの親にコンタクトを取る可能性が高いと思われる」。

グレイは後に、自分の動機は「ただの好奇心だった……私は謎が好きなんだ」と述べ、この調査が「歓迎されないやり方だった」ことは認めつつ、「世界に大きな影響を与え始めたら、もはや匿名でいる権利は失われる」と自らを擁護した。そして自身の調査結果を公表した理由について、「ビットコインが悪意のある人物によって作られたのではないかという人々の懸念に対処するため」と弁明している。

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