衝撃の中国映画『盲山』が暴く、農村女性の「教育を受けられない」現実 《都市と地方で教育格差が広がる》 一人っ子政策の残影も…

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中国の農村で女の子2人が歩いている写真
(写真:Design Pics Editorial/Getty Images)

10月中旬、中国・北京市で「世界女性サミット」が開催され、習近平国家主席は演説で「女性の活躍を後押しするプロジェクトのため1億ドル(約152億円)を拠出する」と発表した。サミットには、世界約110カ国の首脳らが参加し、今後5年間で国連女性機関に追加で1000万ドル(約15億円)を寄付、5万人の女性を中国に招待して研修などを行うという。

しかし、国内の農村に目を向ければ、貧困や教育環境が原因で女性が進学できないという厳しい現実がまだ存在する。中国で教育格差、男女格差が生まれる背景には何があるのか。

中国で上映禁止、映画『盲山』のショッキングな顛末

2012年、中国政府の基準で「絶対的貧困」(衣食の充足と義務教育・基本的医療・住居の保障が十分に受けられない農村貧困層)が9899万人いたが、20年末までにすべての農村絶対的貧困人口が基準ラインを超え、「脱貧困」(貧困ゼロ)を達成したと宣言した。

その際の貧困脱却基準は、20年の農村部の一人当たり年間可処分所得が約4000元(約66000円、当時のレート)を下回らないことであった。

都市と農村の格差問題は中国にとって重要事項で、「脱貧困」は悲願だったが、実際、農村の状況は改善されているのかと筆者は常々疑問を感じていた。

そんな矢先、今夏、都内で上映された中国映画『盲山』(Blind Mountain)を観る機会があった。07年に中国で制作された102分の作品で、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に公式に選出された話題作だ。

次ページ貧困と戸籍制度がつくり出す、都市と農村の「進学格差」
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