「3歳からメイク」「親も一緒に楽しめる仕様に」 急成長する《キッズコスメ市場》を背景に、いま化粧品業界に起きている"異変"

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特に、親子のコミュニケーションツールとしてキッズコスメを活用するケースが目立つ。実際に、前述の調査では「子どもと一緒にメイクを楽しみたい」と答えた人が55.0%に上っている。

一方で、親の多くは安全性に対する懸念も抱いている。前述の調査では「お子様がメイクをすることについての不安は?」という質問に対して、「肌荒れやアレルギーなどのトラブルについて」と答えた人が54.2%に達した。

この数字は、親の半数以上が子どもと一緒にメイクを楽しみたいと考える一方で、同程度の割合で安全性への懸念を抱いていることを示している。

キッズメイク
(出所:ampule)

こうした親の懸念に応える形で、粧美堂が徹底しているのが、商品開発における安全性へのこだわりだ。同社の製品は水溶性成分を使用し、アルコールや刺激の強い成分は不使用。水やお湯で簡単に落とせる設計となっている。

デザイン面でも独自の工夫を凝らしている。「おもちゃっぽくない洗練されたデザイン」を心がけ、大人が使用しても違和感のない外観を実現。この方針により、親子で共有できる商品としての価値を高めている。

キッズコスメ
前述の「3COINS」のチークはほんのりとした優しい色合い。濃く塗っても写真の通りだ(編集部撮影)
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同じく「3COINS」のリップ。リップクリーム感覚でほとんど色はつかない(編集部撮影)

「大人も使える」がキーワードに

また、同社の強みは、ターゲットである女性と同じ目線を持つ開発体制にある。商品企画を担当するマーチャンダイザー(MD)には積極的に女性を起用し、デザインも女性が担当している。消費者と同じ目線で市場トレンドを捉え、プロの発想力を加えることで斬新な商品を生み出している。

さらに、自社ブランド商品の開発部署とOEM商品の制作部署に、それぞれ専属のMD・デザイナーを配置し、企画・開発から生産・販売、在庫管理まで一貫体制を構築。

同社の強みである、ディズニーやサンリオ、ポケモン、など有名キャラクターのライセンスと掛け合わせて、自社ブランドの好評商品をキャラクター仕様でOEM展開したり、OEMで培った知見を自社商品に活用したりするなど、社内開発の強みを最大限に活用している。

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チークやアイシャドウ、リップグロスが一体となったパレット(写真:粧美堂提供)
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