70年後に更地、それでも売れる―「定借マンション」人気の裏側。好立地でも手が届く「期限つき」という選択、メリットとデメリットを解説

最近は、新築マンションの供給戸数が減少している一方、定借マンションが増加している。筆者がモデルルームを見学した新築マンションの中にも、ここ1・2年では500戸、600戸クラスの大規模な定借マンションがいくつもあった。
ここまで定借マンションが増えると、新築マンション市場全体における影響力も大きくなる。そこで、定借マンションとはなにか? どんなメリットやデメリットがあるのか? 詳しく見ていこう。
定期借地権(定借)付き分譲マンションとは?
「定借マンション」は、正しくは「定期借地権付き分譲マンション」という。多くの分譲マンションが、土地や建物の「所有権」を得られるのに対して、土地の権利が「定期借地権」になる。
「定期借地権」とは、一般的に、「借地期間を50年以上」とし、期間が満了したら原則として「土地を更地にして地主に返還する」借地権だ。1992年の借地借家法の改正により創設された。
従来の借地権(普通借地権)では、借地人保護の観点から、一度土地を貸したら契約の解除が難しいため、利用価値の高い土地を貸しづらいという課題があった。定期借地権の創設により、手放したくない土地を一定期間貸すことで、有効活用できるようになった。
筆者が、定借マンションの印象を強く持ったのは、2003年に竣工した「銀座タワー」だ。銀座一丁目から徒歩4分という銀座の一等地に、商業施設ではなく分譲マンションが建ち、そこに住めるというのは驚きだった。借地期間50年の定期借地権付きならではのことだ。

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